🎓 レベル:標準 | 重要度:A(必須) 📎 前提:スイッチの動作(MACテーブル学習)
要点(BLUF)
- VLANは1台の物理スイッチを複数の論理スイッチに分け、ブロードキャストドメインを分割する仕組みです。
- 異なるVLANは別のLAN扱いで、VLAN間通信にはL3(ルータ/L3スイッチ)が必要です。
- 複数VLANを1本のケーブルで運ぶ口がトランクで、フレームに802.1Qタグを付けてVLANを区別します。
なぜVLANが要るのか
スイッチだけのフラットなLANでは、ブロードキャスト(ARPなど)が全端末に届き、台数が増えるほど無駄と障害範囲が広がります。VLANで「営業部」「開発部」のように論理分割すれば、(1) ブロードキャストが各VLAN内に閉じる、(2) セキュリティ境界を作れる、(3) 物理配置に縛られず部署を構成できる、という利益が出ます。**「物理1台を、論理的に複数台に割る」**のがVLANです。
graph TD SW["1台のスイッチ"] SW --> V10["VLAN10 営業(独立したブロードキャストドメイン)"] SW --> V20["VLAN20 開発(独立したブロードキャストドメイン)"] V10 -.->|"通信にはL3が必要"| R["ルータ/L3スイッチ"] V20 -.->|"通信にはL3が必要"| R
アクセスポートとトランクポート
- アクセスポート:1つのVLANに所属し、端末(PC・プリンタ)をつなぐ。フレームにタグは付きません。
- トランクポート:複数VLANのフレームをまとめて運ぶ。スイッチ間やスイッチ-ルータ間で使い、どのVLANのフレームかをタグで識別します。
graph LR PCa["PC(VLAN10)"] -->|"アクセス"| SW1["スイッチ1"] PCb["PC(VLAN20)"] -->|"アクセス"| SW1 SW1 -->|"トランク(10と20を同時に運ぶ)"| SW2["スイッチ2"] SW2 -->|"アクセス"| PCc["PC(VLAN10)"]
802.1Q タグ
トランク上では、Ethernetフレームの送信元MACの直後に4バイトのタグを挿入します。中心は12ビットの**VLAN ID(1〜4094)**で、これでフレームの所属VLANを示します。
- ネイティブVLAN:トランク上でタグを付けずに送るVLAN(既定はVLAN1)。タグなしフレームを受けたら、相手はネイティブVLAN所属とみなします。
- 両端のネイティブVLANは一致させる必要があります(不一致はVLANリーク・誤転送の原因)。
設定例(Cisco IOS)
VLAN作成、アクセスポート割当、トランク設定の最小形。
! VLANを作成
Switch(config)# vlan 10
Switch(config-vlan)# name Sales
Switch(config)# vlan 20
Switch(config-vlan)# name Dev
! Gi0/1 を VLAN10 のアクセスポートに
Switch(config)# interface Gi0/1
Switch(config-if)# switchport mode access
Switch(config-if)# switchport access vlan 10
! Gi0/24 をトランクに(ネイティブVLANを99に明示)
Switch(config)# interface Gi0/24
Switch(config-if)# switchport mode trunk
Switch(config-if)# switchport trunk native vlan 99
Switch(config-if)# switchport trunk allowed vlan 10,20,99
確認コマンド:
Switch# show vlan brief
Switch# show interfaces trunk
VLAN間ルーティング(つなぎ)
VLANをまたぐ通信は、(1) ルータの1本のトランクに複数の論理サブインターフェースを立てるRouter-on-a-stick、または (2) **L3スイッチのSVI(VLANインターフェース)**で行います。SVIの例:
Switch(config)# interface vlan 10
Switch(config-if)# ip address 192.168.10.1 255.255.255.0
この 192.168.10.1 が VLAN10 端末のデフォルトゲートウェイになります。ルーティングの考え方は第3章へ繋がります([[03-03_ルーティングの基礎]])。
⚠️ よくある誤解
- 「VLANが違っても同じスイッチなら通信できる」ではない。VLANが違えば別ネットワーク。必ずL3を経由します。
- 「ネイティブVLANはどちらか一方だけ合っていればよい」ではない。トランク両端で一致が必須。不一致はSTPの不整合やセキュリティ問題を招きます。
- 「VLAN1を使えば安全」ではない。既定VLAN1は管理トラフィックと混ざりやすく、運用ではネイティブ/管理VLANを未使用の番号にずらすのが定石です。
対応 lab
- なし(IOS設定。Packet Tracer等での再現を推奨)
関連
- 前:
[[02-02_スイッチの動作]]/次:[[02-04_スパニングツリー]] - VLAN間の通信先:
[[03-03_ルーティングの基礎]]/タグと冗長:[[02-05_EtherChannelと近隣探索]]