🎓 レベル:基礎 | 重要度:A(必須) 📎 前提:ルーティングの基礎
要点(BLUF)
- 静的ルーティングは、管理者が「この宛先はここへ渡せ」と手動でルートを書く方式です。シンプルで予測可能、AD=1。
- どこにも一致しないトラフィックの出口が**デフォルトルート(0.0.0.0/0)**で、末端拠点やインターネット出口で多用します。
- 動的ルートの予備として、ADを上げて待機させるフローティングスタティックでバックアップを作れます。
静的ルートの書き方
基本構文は「宛先ネットワーク+マスク+次にどこへ渡すか」。
! 宛先10.2.2.0/24 は 192.168.1.2 へ渡す(ネクストホップ指定)
Router(config)# ip route 10.2.2.0 255.255.255.0 192.168.1.2
! 出力インターフェース指定も可能(P2Pリンク向き)
Router(config)# ip route 10.2.2.0 255.255.255.0 Serial0/0/0
- ネクストホップ指定:渡す相手のIP。途中でARP解決が要る。
- 出力インターフェース指定:P2Pリンクで相手が1つに定まる場合に簡潔。
デフォルトルート
全宛先に一致する 0.0.0.0/0 は、「自分のテーブルに載っていない宛先は全部ここへ」という出口です。
! インターネット向けの出口(ISPルータ 203.0.113.1 へ)
Router(config)# ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 203.0.113.1
graph LR LAN["社内LAN"] R["自社ルータ"] ISP["ISPルータ"] NET["インターネット"] LAN --> R R -->|"デフォルトルート 0.0.0.0/0"| ISP --> NET
末端(スタブ)拠点は経路が1方向しかないので、動的プロトコルを動かさずデフォルトルート1本で十分なことが多いです。
フローティングスタティック:予備の経路
主経路(動的ルートや低ADの静的)の予備として、ADを高く設定した静的ルートを置きます。普段はAD比較で負けて使われず、主経路が消えたときだけ昇格します。
! 主経路はOSPF(AD110)。予備の静的をAD130で用意
Router(config)# ip route 10.2.2.0 255.255.255.0 192.168.9.2 130
末尾の 130 がAD。主経路が生きている間は隠れ、障害時に自動で表に出ます。
なぜ静的を使うのか(設計の直観)
動的プロトコルは便利ですが、(1) CPU/帯域を消費し、(2) 設計を複雑にし、(3) 想定外の経路を学ぶリスクがあります。経路が単純で変化が少ない場所(末端拠点・インターネット出口・厳密に制御したい区間)では、手で書いた静的のほうが軽く・速く・予測可能です。「変化が多い大規模=動的、単純で固定=静的」が使い分けの軸です。
⚠️ よくある誤解
- 「静的ルートは双方向に効く」ではない。片道だけ書くと戻りが届きません。往復の経路を両側に書く必要があります。
- 「ネクストホップさえ合えば届く」ではない。指定したネクストホップ自体への到達性(直結 or 別ルート)が無いとルートは有効になりません。
- 「フローティングのADはメトリックの一種」ではない。ADは情報源の信頼度。高くするほど採用されにくく、予備化できます。
対応 lab
- なし(IOS設定。Packet Tracer等での疎通確認を推奨)
関連
- 前提:
[[03-03_ルーティングの基礎]]/次:[[06-02_距離ベクトル型]] - AD全体像:
[[06-04_ルーティングの比較と再配布]]