中小企業診断士 試験概要
このノートは7科目すべての「幹」です。各科目の目次(MOC)はここからリンクしています。試験の全体像をつかみたいとき・迷子になったときはここに戻ってきてください。
結論(全体像)
中小企業診断士は、1次試験(マークシート7科目)→ 2次試験(記述4事例)→ 実務補習または実務従事(15日以上)→ 登録、という4ステップで取得する国家資格です。1次は「広く浅く7分野の知識」、2次は「その知識を企業の事例に当てはめて使う力」を測ります。
そして大事な変更点が1つあります。2026年度(令和8年度)から、2次試験の「口述試験」が廃止されました。つまり、これからは 2次の筆記試験に合格すれば、それが最終合格です(要最新確認:中小企業庁 令和8年度からの改正点)。
flowchart TD
A[受験資格: 学歴・年齢・実務経験の制限なし<br>誰でも受験可能] --> B[1次試験<br>マークシート 7科目 / 700点満点<br>2026年8月1日・2日 ※要最新確認]
B -->|合格| C[2次試験 筆記<br>記述式 4事例 / 400点満点<br>2026年10月25日 ※要最新確認]
B -.->|不合格でも科目合格していれば<br>翌年・翌々年に該当科目を免除| B
C -->|合格 = 最終合格| D[実務補習 または 実務従事<br>合計15日以上 / 合格後3年以内]
D --> E[中小企業診断士として登録<br>登録の有効期間は5年・更新制]
F["【2025年度まで】2次口述試験"] -.->|令和8年度より廃止| C
style B fill:#e3f2fd,stroke:#1565c0
style C fill:#fff3e0,stroke:#e65100
style D fill:#e8f5e9,stroke:#2e7d32
style E fill:#f3e5f5,stroke:#6a1b9a
style F fill:#fafafa,stroke:#9e9e9e,stroke-dasharray: 5 5
1次試験と2次試験の位置づけ
ひとことで言うと、**1次は「知識のインプット試験」、2次は「知識のアウトプット試験」**です。性質がまったく違うので、対策の頭の切り替えが要ります。
1次試験:7科目・700点満点のマークシート
7つの科目を2日間に分けて受験します。各科目100点で、合計700点満点です。2026年度の科目割りは以下のとおりです(試験日・時間割は年度で変わるので要最新確認)。
| 日程 | 時間帯 | 科目 | 試験時間 | 配点 |
|---|---|---|---|---|
| 1日目 午前 | — | 経済学・経済政策 | 60分 | 100点 |
| 1日目 午前 | — | 財務・会計 | 60分 | 100点 |
| 1日目 午後 | — | 企業経営理論 | 90分 | 100点 |
| 1日目 午後 | — | 運営管理(オペレーション・マネジメント) | 90分 | 100点 |
| 2日目 午前 | — | 経営法務 | 60分 | 100点 |
| 2日目 午前 | — | 経営情報システム | 60分 | 100点 |
| 2日目 午後 | — | 中小企業経営・中小企業政策 | 90分 | 100点 |
1次の合格基準(要最新確認):
- 総点数基準:総得点の 60%以上(700点満点中420点以上が目安)
- 足切り(科目最低点):1科目でも **満点の40%未満(=40点未満)**があると、総得点が60%を超えていても不合格
つまり「平均60点を取ればいい」だけでなく、「どの科目も40点は死守する」必要があります。極端な苦手科目を作れない設計です。
科目合格制度(要最新確認): 1次に不合格でも、**60%以上得点した科目は「科目合格」**になり、翌年度・翌々年度(合格年を含めず2年間)はその科目の受験が免除されます。複数年かけて1次を突破する戦略が取れます。
flowchart LR
subgraph 1次合格の2条件
direction TB
T1[総点数 60%以上<br>700点中 420点以上] --- AND{両方<br>満たす}
T2[全科目 40点以上<br>1科目でも40点未満なら不合格] --- AND
end
AND -->|YES| PASS[1次合格]
AND -->|NO| FAIL[1次不合格]
FAIL -->|60%以上の科目があれば| KGK[科目合格<br>翌年・翌々年は免除]
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2次試験:記述式4事例(口述は廃止)
2次は記述式の4事例で、各100点・80分、合計400点満点です。事例ごとに「与件文(企業のケース)」を読み、設問に文章で答えます。
| 事例 | 通称 | テーマ | 時間 | 配点 | 主に効く1次科目 |
|---|---|---|---|---|---|
| 事例I | 組織・人事 | 組織構造、人的資源管理、組織文化 | 80分 | 100点 | 企業経営理論 |
| 事例II | マーケティング・流通 | 市場・顧客対応、販売戦略 | 80分 | 100点 | 企業経営理論・運営管理(店舗) |
| 事例III | 生産・技術 | 生産管理、工程改善、QCD | 80分 | 100点 | 運営管理(生産) |
| 事例IV | 財務・会計 | 経営分析、CVP、投資評価、CF | 80分 | 100点 | 財務・会計 |
2次の合格基準(要最新確認):
- 総点数の60%以上(400点満点中240点以上)
- かつ 1事例でも40%未満(40点未満)がないこと
1次と同じ「60%+足切り」の構造です。事例IV(財務)は計算問題が多く配点も読みやすいため、合否を分けやすい科目とよく言われます。
口述試験について(重要):2025年度(令和7年度)までは、2次筆記合格者に対して面接形式の「口述試験」が行われていました。しかし筆記合格者のほぼ全員が口述に合格する運用が続いていたため、令和8年度(2026年度)から口述試験は廃止されました。これにより2次筆記の合格=最終合格となります(要最新確認:中小企業庁)。
合格後:登録までの流れ
2次に最終合格しても、それだけでは「中小企業診断士」を名乗れません。合格日から3年以内に、実務補習または実務従事を合計15日以上こなして、はじめて登録申請ができます(要最新確認)。
- 実務補習:中小企業診断協会などが用意するプログラム。指導員のもとで実際の企業を診断する(1コース5日 × 3社で15日、などの組み方)
- 実務従事:自分で中小企業の診断・助言業務に従事して日数を満たすルート
- 両者の日数は合算可能。15日を満たしたら登録申請 → 登録(登録の有効期間は5年・更新制)
3年以内に15日を満たさないと登録できず、権利を得るには試験からやり直しになります(要最新確認)。
受験手数料(2026年度・要最新確認)
令和8年度から手数料が改定されました。口述廃止に伴い2次が下がり、1次が上がっています。合計額(32,300円)は据え置きです。
| 区分 | 改正前 | 改正後(令和8年度〜) |
|---|---|---|
| 1次試験 | 14,500円 | 17,200円 |
| 2次試験 | 17,800円 | 15,100円 |
(要最新確認:中小企業庁 受験手数料の見直し)
7科目それぞれの概要と相互関係
7科目はバラバラの暗記項目に見えますが、**「環境を読む → 戦略を立てる → 現場で回す」**という診断士の思考フローに沿って3系統に整理できます。この地図を頭に入れておくと、科目間のつながりが見えて2次対策にも効きます。
graph TD
EXAM[中小企業診断士試験]
EXAM --> KANKYO[環境系<br>外部環境を読む]
EXAM --> SENRYAKU[戦略系<br>意思決定の軸]
EXAM --> GENBA[管理系<br>現場で回す]
KANKYO --> KEIZAI["経済学・経済政策<br>マクロ/ミクロの市場環境"]
KANKYO --> HOMU["経営法務<br>会社法・知財・契約のルール"]
KANKYO --> CHUSHO["中小企業経営・政策<br>中小企業の実態と支援策"]
SENRYAKU --> KEIEI["企業経営理論<br>戦略・組織・マーケ"]
SENRYAKU --> ZAIMU["財務・会計<br>カネの言語・投資判断"]
GENBA --> UNEI["運営管理<br>生産管理・店舗運営"]
GENBA --> JOHO["経営情報システム<br>ITで業務を支える"]
KEIEI -.事例I・II.-> NIJI[2次試験 4事例]
UNEI -.事例III.-> NIJI
ZAIMU -.事例IV.-> NIJI
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style GENBA fill:#e8f5e9,stroke:#2e7d32
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戦略系(意思決定の軸)
- 企業経営理論 — 経営戦略・組織論・マーケティングの3本柱。診断士の思考の中心であり、2次の事例I(組織)・事例II(マーケ)に直結します。すべての科目をつなぐハブ的存在。
- 財務・会計 — 企業を「カネ」の言語で読む科目。簿記・財務諸表から経営分析・投資評価・ファイナンスまで。2次の事例IV(財務)に直結し、難関かつ配点が読みやすいため最優先で固めたい科目です。
管理系(現場で回す)
- 運営管理 — 生産管理(工場・モノづくり)と店舗・販売管理の2本柱。2次の事例III(生産・技術)に直結します。
- 経営情報システム — ハード・ソフト・ネットワーク・DB・セキュリティなどIT全般。現場の業務をITで支える視点。2次では事例の解決手段として横断的に効きます。
環境系(外部環境を読む)
- 経済学・経済政策 — ミクロ(需要供給・市場)とマクロ(GDP・IS-LM・成長)。企業を取り巻く市場環境を理論で理解します。グラフ・数式が多い科目。
- 経営法務 — 会社法・知的財産権・民法・倒産法制など、事業活動の法的ルール。
- 中小企業経営・政策 — 中小企業の実態(統計・白書)と国の支援施策。白書・施策は毎年更新されるため直前期に詰めるのが定石です(要最新確認)。
科目間の関係まとめ:企業経営理論が戦略のハブ、財務・会計がカネの共通言語、運営管理が現場の実装。経済・法務・中小は「外部環境」を別角度から照らす3科目。2次では1次の知識を事例の上で組み合わせて使うので、1次=部品、2次=組み立てと捉えると科目の位置づけがつかめます。
よくある疑問
Q. 1次は7科目全部いっぺんに受けないとダメ? A. いいえ。科目合格制度があるので、複数年に分けて攻略できます。60%以上取った科目は翌年・翌々年に免除されるため、1年目に得意科目を確保し、2年目に残りを狙う戦略が可能です(要最新確認)。
Q. 1次に受かったらすぐ2次?合格はずっと有効? A. 1次合格の権利で2次を受けられるのは、合格年とその翌年の2回までが原則です(要最新確認)。1次合格を「持ち越せる」期間には限りがあるので、2次は早めに仕掛けるのが基本です。
Q. 口述試験がなくなったって本当?対策は不要? A. 本当です。令和8年度(2026年度)から口述試験は廃止され、2次筆記の合格がそのまま最終合格になりました。よって口述対策は不要です(要最新確認:中小企業庁)。なお、過去問・古い参考書には口述の記述が残っているので注意してください。
Q. 試験に受かれば「中小企業診断士」を名乗れる? A. まだです。2次合格後に**実務補習または実務従事を15日以上(合格後3年以内)**こなして登録申請して、はじめて名乗れます。試験合格はゴールではなく登録の前提条件です(要最新確認)。
Q. 受験に資格や学歴は要る? A. 1次試験は学歴・年齢・実務経験の制限が一切なく、誰でも受験できます(要最新確認)。
Q. 足切りって何点?60%取れば安心? A. 1次・2次とも、各科目(事例)で40%未満(40点未満)を1つでも取ると、総得点が60%を超えていても不合格です。「平均で稼ぐ」より「苦手科目を作らない」ことが合格の条件です(要最新確認)。
まとめ
- 取得フローは 1次(7科目)→ 2次(4事例)→ 実務補習/実務従事15日 → 登録 の4ステップ。
- 2026年度(令和8年度)から2次の口述試験は廃止。2次筆記合格=最終合格(要最新確認)。
- 合格基準は1次・2次とも 「総点数60%以上 + 各科目40点以上」。足切りに注意。
- 1次には科目合格制度があり、複数年戦略が取れる。
- 7科目は 戦略系(経営理論・財務)/ 管理系(運営・情報)/ 環境系(経済・法務・中小) に整理でき、2次の4事例(I=組織・II=マーケ・III=生産・IV=財務)と対応している。
- 日程・配点・手数料・制度は年度で変動するため、出願前に必ず日本中小企業診断士協会連合会(J-SMECA)・中小企業庁の公式情報で最新確認すること。