解散・清算と持分会社|会社の終わり方と3形態の比較
結論から
「解散」は会社の終了を決める意思決定、「清算」は財産を整理して実際に会社をたたむ手続きです。この2段階の構造と、持分会社(合名・合資・合同)の特徴比較が試験の中心です。
1. 解散とは
会社の法的存在が終了に向かうスタート地点です。解散しただけでは会社は消滅しません。清算手続きを経て初めて法人格が消滅します。
株式会社の解散事由(会社法471条)
| 解散事由 | 内容 |
|---|---|
| 定款所定の存続期間の満了 | 設立時に期間を定めた場合 |
| 定款所定の解散事由の発生 | 例:代表者の死亡を解散事由と定めた場合 |
| 株主総会の解散決議 | 特別決議が必要 |
| 合併(消滅会社) | 合併により解散 |
| 破産手続きの開始決定 | 裁判所の決定による |
| 解散を命ずる裁判 | 裁判所による命令 |
試験頻出: 任意解散(経営者が自ら決める場合)は株主総会の特別決議が必要です。
2. 清算手続きの流れ
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A[解散決議・解散事由の発生] --> B[清算人の選任\n旧代表取締役が就任\nまたは株主総会で選任]
B --> C[解散・清算人選任の登記\n2週間以内]
C --> D[財産目録・貸借対照表の作成\n株主総会承認]
D --> E[債権の取立て・資産換価]
E --> F[債権者への弁済\n官報公告+個別催告\n2ヶ月以上の期間]
F --> G[残余財産の分配\n株主へ持株比率に応じて]
G --> H[決算報告書の作成\n株主総会承認]
H --> I[清算結了登記\n法人格の消滅]
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清算人の役割
清算人は解散後の会社の業務を執行する機関です。通常は解散直前の代表取締役が就任します(定款・株主総会で別に定めることも可)。
清算人の主な権限:
- 現務の結了(進行中の取引の完了)
- 債権の取立て
- 債務の弁済
- 残余財産の分配
3. 特別清算
株式会社が解散後に財務状況が悪化している場合に、裁判所の監督下で行う清算手続きです。
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A[通常清算\nできない場合] -->|債務超過の疑い\nまたは清算が困難| B[裁判所へ申立て]
B --> C[特別清算\n開始命令]
C --> D[清算人が裁判所の監督下で\n債権者との協定を締結]
D --> E[協定認可\n債権者多数決による]
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| 比較 | 通常清算 | 特別清算 |
|---|---|---|
| 財務状態 | 財務良好 | 債務超過の疑いあり |
| 裁判所の関与 | なし | あり(監督下) |
| 債権者との関係 | 全額弁済 | 協定による一部カットも可能 |
| 根拠法 | 会社法 | 会社法(510条以下) |
4. 持分会社の概要
会社法上、「持分会社」は合名会社・合資会社・合同会社の3形態の総称です。
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A[持分会社] --> B[合名会社\nGōmei-kaisha]
A --> C[合資会社\nGōshi-kaisha]
A --> D[合同会社\nGōdō-kaisha / LLC]
B --> E[社員全員が\n無限責任]
C --> F[無限責任社員\n+有限責任社員]
D --> G[社員全員が\n有限責任]
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5. 持分会社の比較表
| 比較項目 | 合名会社 | 合資会社 | 合同会社 |
|---|---|---|---|
| 社員の責任 | 全員無限責任 | 無限責任社員+有限責任社員 | 全員有限責任 |
| 最低社員数 | 1名以上 | 2名以上(各1名) | 1名以上 |
| 設立費用 | 低い(登録免許税6万円) | 低い | 低い(登録免許税6万円) |
| 定款認証 | 不要 | 不要 | 不要 |
| 業務執行 | 社員全員(原則) | 無限責任社員(原則) | 社員全員(原則)または業務執行社員 |
| 決定方法 | 社員の過半数 | 社員の過半数 | 社員の過半数 |
| 持分の譲渡 | 他の社員全員の同意 | 他の社員全員の同意 | 他の社員全員の同意 |
| 利益分配 | 定款で自由に設定 | 定款で自由に設定 | 定款で自由に設定 |
6. 株式会社との比較
| 比較項目 | 株式会社 | 合同会社(LLC) |
|---|---|---|
| 社員の責任 | 有限責任(出資額まで) | 有限責任 |
| 設立コスト | 高い(定款認証10〜12万円+登録免許税15万円) | 低い(認証不要、登録免許税6万円) |
| 意思決定 | 株主総会+取締役会 | 社員の合意(柔軟) |
| 利益分配 | 株数比例が原則 | 定款で自由に設定 |
| 機関設計 | 法定の機関設計が必要 | シンプル |
| 対外的信用 | 高い | 中程度(認知度向上中) |
実務での合同会社の活用例: Amazon Japanなど外資系企業、スタートアップ初期、個人事業の法人化(コスト低減目的)
7. 持分会社の清算
| 種類 | 清算方法 |
|---|---|
| 株式会社・合同会社 | 法定清算(会社法の手続きに従う) |
| 合名・合資会社 | 任意清算も可(社員全員の同意があれば自由に財産分配できる) |
合名・合資会社には任意清算が認められている理由:社員全員が無限責任を負っているため、清算方法について柔軟性を持たせても債権者保護上の問題が少ないとされています。
よくある疑問
Q. 解散後も会社の法人格は残るのか?
はい、残ります。解散から清算結了登記まで、会社は「清算中の法人」として存続します。「清算株式会社」として、清算目的の範囲内で活動できます。
Q. 定款認証が不要な持分会社のメリットはどのくらいか?
定款認証(公証人の認証)は株式会社では約10万円かかります。合同会社は不要なため、設立コストが株式会社の半額以下になるケースが多いです。
Q. 合資会社はなぜ2名以上が必要か?
定義上、無限責任社員と有限責任社員の両方が必要です。一方が0名になると合資会社の要件を満たさなくなり、解散事由になります。
まとめ
| 項目 | キーポイント |
|---|---|
| 解散事由 | 株主総会による任意解散は特別決議 |
| 清算の流れ | 清算人選任→財産目録→債権者保護→残余財産分配→清算結了登記 |
| 特別清算 | 財務悪化時に裁判所監督下で実施 |
| 合名会社 | 全社員無限責任 |
| 合資会社 | 無限+有限の混合(最低2名) |
| 合同会社 | 全社員有限責任、低コスト設立 |
| 持分会社の清算 | 合名・合資は任意清算が可能 |