結論から言うと
アンゾフの成長マトリクスは「既存/新規」の2軸(製品×市場)で4つの成長戦略を分類するフレームワークです。試験では各象限の定義とリスクの大小関係、そして多角化の4種類が頻出です。
1. アンゾフの成長マトリクス(4象限)
イゴール・アンゾフ(H. Igor Ansoff)が1957年に提唱。企業の成長方向性を「製品(既存/新規)×市場(既存/新規)」の2軸で整理します。
quadrantChart
title アンゾフの成長マトリクス
x-axis 既存製品 --> 新規製品
y-axis 既存市場 --> 新規市場
quadrant-1 製品開発
quadrant-2 多角化
quadrant-3 市場浸透
quadrant-4 市場開拓
市場浸透: [0.25, 0.25]
市場開拓: [0.25, 0.75]
製品開発: [0.75, 0.25]
多角化: [0.75, 0.75]
4象限の定義
| 戦略 | 市場 | 製品 | 概要 |
|---|---|---|---|
| 市場浸透 | 既存 | 既存 | 既存市場でのシェア拡大・顧客囲い込み |
| 市場開拓 | 新規 | 既存 | 既存製品を新しい市場・地域・顧客層へ展開 |
| 製品開発 | 既存 | 新規 | 既存顧客向けに新製品を投入 |
| 多角化 | 新規 | 新規 | 新市場に新製品で参入。最もリスクが高い |
2. リスクの大小関係
リスクは「未知の領域をいくつ踏み込むか」で決まります。
flowchart LR
A["市場浸透\n(リスク最小)"] --> B["市場開拓 = 製品開発\n(中程度のリスク)"] --> C["多角化\n(リスク最大)"]
style A fill:#90EE90
style B fill:#FFD700
style C fill:#FF6B6B
- 市場浸透:既知×既知。最もリスクが低い。広告強化・価格戦略・販売促進が手段
- 市場開拓・製品開発:未知が1軸。リスクは同程度
- 多角化:未知×未知。経験・ノウハウが使えない領域に両方同時参入するためリスク最大
3. 多角化戦略の4種類
多角化はさらに4タイプに分類されます。試験ではルメルトの分類と混同しないよう注意。
flowchart TD
D["多角化戦略"] --> H["水平的多角化\n既存市場×技術・ノウハウを活かした新製品\n例:化粧品メーカーが健康食品へ"]
D --> V["垂直的多角化\nバリューチェーンの川上・川下へ参入\n例:製造業が小売・物流へ"]
D --> C["集中的多角化(関連多角化)\n既存技術・ノウハウを活かして新市場へ\n例:楽器メーカーが木工技術で家具事業へ"]
D --> G["集成的多角化(非関連多角化)\n技術・市場ともに無関係の事業へ\n例:自動車メーカーが金融・不動産へ"]
| 種類 | 既存技術活用 | 既存市場活用 | 関連性 |
|---|---|---|---|
| 水平的 | 部分的 | あり | 中 |
| 垂直的 | あり | あり(同バリューチェーン) | 高 |
| 集中的 | あり | なし | 中〜高 |
| 集成的 | なし | なし | 低(コングロマリット型) |
4. 試験での出題パターン
パターン1:事例から戦略を特定する
「A社は既存の顧客向けに新しい機能を追加した製品を投入した」→ 製品開発
パターン2:リスクの順序を問う
「4つの戦略をリスクの低い順に並べよ」→ 市場浸透<市場開拓=製品開発<多角化
パターン3:多角化の種類を特定する
「メーカーが自社製品の販売チャネル(小売)を直営化した」→ 垂直的多角化(川下への参入)
よくある疑問
Q. 市場開拓と製品開発のリスクはなぜ同じ? A. 未知の軸が1つという点で対称だからです。「新しい市場のリスク」と「新しい製品のリスク」は異なる性質ですが、不確実性の大きさは理論上同程度とされています。
Q. 集中的多角化と水平的多角化の違いがわからない A. 既存市場にいるか否かが分岐点です。既存顧客に別製品を売るなら水平的、全く別の市場に自社技術を展開するなら集中的と覚えてください。
Q. 垂直的多角化はM&Aと何が違うの? A. 垂直的多角化は「どの方向に多角化するか(川上/川下)」の概念で、M&Aはその実現手段(買収)です。垂直的多角化をM&Aで実現することは普通にあります。
まとめ
- アンゾフの成長マトリクス:製品×市場の2軸で4象限(市場浸透・市場開拓・製品開発・多角化)
- リスク順:市場浸透 < 市場開拓 = 製品開発 < 多角化
- 多角化の4種類:水平的・垂直的・集中的・集成的
- 試験では「事例の戦略特定」と「リスク順序」が主な問われ方
試験頻出度:A(毎年のように出題。4象限の定義とリスク順序は確実に押さえる)