🎓 レベル:発展 | 重要度:B(推奨)
📎 前提:モジュラリティ最大化・次数中心性と次数分布 | 関連:スケールフリー(Barabási–Albert)
要点(BLUF)
- コアペリフェリ構造:密に結合した中心(コア)と、コアにぶら下がる周辺(ペリフェリ)からなる。コミュニティとは別のメソ構造。
- assortativity(同類選好):似た性質(特に次数)のノードどうしが繋がる傾向。係数 で測る。
- ソーシャルは正(ハブはハブと繋がる)、技術・生物ネットワークは負(ハブは末端と繋がる)になりやすい。
概念:コミュニティだけが構造ではない
ネットワークの中規模(メソスケール)構造は、互いに対等な集団の集まり(コミュニティ)だけではありません。1つの密な中心とそれを取り巻く周辺、というコアペリフェリ型もあります。また、構造を「誰と誰が繋がるか」の好みで特徴づける視点が同類選好(assortativity)。これらはコミュニティ検出(モジュラリティ最大化)が捉えない、別の軸の組織化です。
コアペリフェリ構造
理想的なコアペリフェリ構造では:
- コア:互いに密に結合した中心ノード群。
- ペリフェリ:コアとは繋がるが、ペリフェリ同士はほとんど繋がらない周辺ノード群。
コミュニティが「内部密・外部疎のブロックが複数」なのに対し、コアペリフェリは「1つの密なコア+疎な周縁」。金融機関ネットワーク(中心の大銀行と周縁の小銀行)や交通ネットワークのハブ空港などが典型です。
graph TD
subgraph Core["コア(密)"]
c1((C1)) --- c2((C2))
c2 --- c3((C3))
c1 --- c3
end
p1((P1)) --- c1
p2((P2)) --- c2
p3((P3)) --- c3
p4((P4)) --- c1
assortativity(次数同類性)
次数同類性係数 は、エッジの両端の次数の相関(ピアソン相関)として定義されます。
- (assortative):高次数ノードは高次数ノードと繋がる傾向。ソーシャルネットワークに多い。
- (disassortative):高次数ノード(ハブ)は低次数ノード(末端)と繋がる傾向。技術・生物ネットワークに多い。
- :次数に関して無相関。
コードで確認
import networkx as nx
G = nx.karate_club_graph()
print("次数同類性係数 r(空手クラブ) =", round(nx.degree_assortativity_coefficient(G), 4))
# Barabási–Albert(ハブが末端を集める)
BA = nx.barabasi_albert_graph(500, 3, seed=1)
print("BAネットワークの r =", round(nx.degree_assortativity_coefficient(BA), 4))
実行結果:
次数同類性係数 r(空手クラブ) = -0.4756
BAネットワークの r = -0.0596
空手クラブは と強く disassortative — 2人の指導者(ハブ)が多数の一般メンバー(末端)を抱えるコアペリフェリ的な構造を反映しています。BAモデル(スケールフリー(Barabási–Albert))も負で、優先的選択がハブ‐末端結合を生むことが見て取れます。
数式の直観的意味
は「エッジを1本選んだとき、その両端の次数がどれだけ似ているか」のピアソン相関です。 なら高次数は高次数とだけ、 なら高次数は低次数とだけ繋がる。コアペリフェリ構造は典型的に disassortative(コアの高次数ノードが周縁の低次数ノードを集める)になります。assortativity は、次数分布(次数中心性と次数分布)が同じでも「繋がり方の好み」でネットワークの挙動(頑健性・拡散)が変わることを教えてくれます。
⚠️ よくある誤解・落とし穴
- assortativity は次数以外の属性でも定義できる:年齢・国籍など任意のノード属性の同類選好(homophily)も測れます。
- disassortative = コミュニティがない、ではない:同類性とコミュニティ分割は独立の軸。両方を見て初めて構造が分かります。
- コアペリフェリとコミュニティを取り違える:1つの密なコアを「コミュニティ」と誤検出することがある。目的に応じてモデルを選びます。
対応シミュレーション
本文のコードがそのまま検証用です。優先的選択とハブ形成は スケールフリー(Barabási–Albert)。
関連
- 前提:モジュラリティ最大化・次数中心性と次数分布
- ハブを生むモデル:スケールフリー(Barabási–Albert)
- 上位ハブ:コミュニティ構造 目次