GDP・国民経済計算
要点(BLUF)
- GDP = 「一定期間に国内で生産された付加価値の合計」
- 三面等価:生産面 = 分配面 = 支出面(どこから測っても同額)
- 名目GDP(当年価格)と実質GDP(基準年価格)の差 = GDPデフレーター
1. GDPの定義
GDP(Gross Domestic Product:国内総生産)
4つのポイント:
- 一定期間:通常1年間(フロー概念)
- 国内で:国籍問わず国内で生産(外資系企業の生産も含む)
- 付加価値:中間財を除き、各段階で追加された価値のみ加算(二重計算を防ぐ)
- 市場取引:家事労働・地下経済は原則含まない
付加価値の例:
| 段階 | 産出額 | 中間財費用 | 付加価値 |
|---|---|---|---|
| 農家(小麦) | 100 | 0 | 100 |
| 製粉会社(小麦粉) | 150 | 100 | 50 |
| パン工場(パン) | 250 | 150 | 100 |
| 合計 | - | - | 250(=GDP) |
2. 三面等価の原則
GDPは3つの異なる面から測定できるが、理論的に同額になる。
flowchart LR
A["GDP三面等価"] --> B["生産面\nGDP(産業別付加価値の合計)"]
A --> C["分配面\nGDP(労働者・資本家・政府への分配)"]
A --> D["支出面\nGDP(C+I+G+経常収支)"]
B <--> C
C <--> D
B <--> D
支出面(需要側)のGDP
| 記号 | 内容 |
|---|---|
| C | 民間最終消費支出(家計の消費) |
| I | 総固定資本形成(民間設備投資・住宅投資・在庫変動) |
| G | 政府最終消費支出(政府の消費)+公共投資 |
| X - M | 純輸出(輸出 - 輸入) |
分配面(供給側)のGDP
3. GDPとGNI(旧GNP)の違い
| 指標 | 定義 |
|---|---|
| GDP | 国内総生産:国内で生産された付加価値(国籍問わず) |
| GNI(旧GNP) | 国民総所得:居住者(国民)が得た所得(海外での稼ぎも含む) |
例: 日本企業の海外子会社が稼いだ利益 → GNIには含まれるが、GDPには含まれない。外資系企業が日本国内で稼いだ利益 → GDPには含まれるが、GNIには含まれない。
1993年のSNA(国民経済計算の体系)改定でGNP → GNIに名称変更。
4. 名目GDPと実質GDP
定義の違い
| 指標 | 価格基準 | 内容 |
|---|---|---|
| 名目GDP | 当年価格 | インフレ・デフレの影響を含む |
| 実質GDP | 基準年価格 | 物価変動を除いた実態の生産量 |
GDPデフレーター
物価水準の変化を測る指数:
例:
- 2023年:名目GDP = 600兆円、実質GDP = 550兆円
- GDPデフレーター = (600/550) × 100 ≈ 109
- 解釈:基準年比で物価が約9%上昇
経済成長率の計算
実質成長率(試験でよく出る計算):
flowchart LR
A["名目GDP増加"] --> B{"物価上昇あり?"}
B -->|"Yes"| C["名目成長率 > 実質成長率\n(インフレが含まれている)"]
B -->|"No"| D["名目成長率 ≈ 実質成長率"]
C --> E["実質成長率 = 名目成長率 - インフレ率(近似)"]
5. 国民経済計算(SNA)の体系
SNA(System of National Accounts)は国連が策定した国際標準の国民経済計算体系。日本は1993SNAを経て2008SNAへ移行(要最新確認)。
主な改定ポイント(2008SNA):
- 研究開発費(R&D)を固定資本形成に含める
- 金融サービス産出の計測方法の精緻化
よくある疑問
Q: GDPに中間財が含まれないのはなぜか?
A: 二重計算を防ぐためです。パンの製造を例にとると、小麦→小麦粉→パンの各段階でそれぞれの産出額を全部足すと、小麦の価値が3回カウントされてしまいます。各段階で新たに生み出した価値(付加価値)だけを足し合わせることで、最終産出額(パン=250)と一致します。
Q: 海外旅行の消費はどちらのGDPに入るか?
A: 旅行先の国のGDPです。GDP は「国内で生産されたもの」なので、日本人が海外で消費したサービスは日本のGDPには含まれません(輸入として処理)。外国人が日本で消費すると日本のGDPに入ります(輸出として処理)。
Q: 名目GDPが増えたら経済成長しているといえるか?
A: 必ずしもいえません。物価が大幅に上昇している(インフレ)なら、生産量が増えていなくても名目GDPは増えます。経済の実態を見るには実質GDPで判断する必要があります。
Q: GDPデフレーターと消費者物価指数(CPI)は何が違うのか?
A: GDPデフレーターは国内で生産・消費された全財・サービスを対象にしますが、CPIは家計が購入する財・サービスのバスケットを対象にします。また、CPIは輸入品価格を含みますがGDPデフレーターは国内産のみ。試験では「GDPデフレーターは生産側の物価指数、CPIは消費側の物価指数」と整理しておくとよいです。
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| GDPの定義 | 国内で生産された付加価値の総額(一定期間) |
| 三面等価 | 生産面 = 分配面 = 支出面(C+I+G+(X-M)) |
| GDPとGNI | GNI = GDP + 海外からの純要素所得 |
| 名目vs実質 | 実質GDPで物価変動を除いた成長を測る |
| デフレーター | 名目GDP / 実質GDP × 100 |
試験では「三面等価の式を正確に書く」「名目GDPと実質GDPの計算」「GDPとGNIの違い」が頻出。
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