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🎓 レベル:標準 | 重要度:A(必須)

📎 前提:業界構造とファイブフォース(既存企業間の競争の強さ)

要点(BLUF)

1. 集中度の指標:CR と HHI

シェア sis_i(合計100%)の業界を考えます。

HHI=i=1Nsi2\mathrm{HHI} = \sum_{i=1}^{N} s_i^2

シェアを%(0〜100)で測ると HHI は 0〜10000 の値をとります。二乗するので大手のシェアが効き、独占なら 1002=10000100^2 = 10000、N社均等なら 10000/N10000/N。逆数から等価企業数 10000/HHI10000 / \mathrm{HHI}(numbers-equivalent)が出ます。

import numpy as np

# 2つの業界の市場シェア(%):分散的 vs 寡占的(合成データ)
shares = {
    "分散業界": [12, 11, 10, 10, 9, 8, 8, 8, 8, 8, 8],   # 多数の中堅
    "寡占業界": [40, 30, 20, 5, 5],                       # 上位に集中
}

for name, s in shares.items():
    s = np.array(s, dtype=float)
    assert abs(s.sum() - 100) < 1e-9, "シェア合計は100%"
    cr3 = np.sort(s)[::-1][:3].sum()      # 上位3社集中度 CR3
    hhi = np.sum(s**2)                      # HHI(0〜10000、%の二乗和)
    ne  = 10000 / hhi                       # 等価企業数(numbers-equivalent)
    print(f"{name}: CR3={cr3:.0f}%  HHI={hhi:.0f}  等価企業数={ne:.1f}")

出力:

分散業界: CR3=33%  HHI=930  等価企業数=10.8
寡占業界: CR3=90%  HHI=2950  等価企業数=3.4

出力の意味:分散業界は11社いますが、HHI 930・等価企業数 10.8——ほぼ「11社が均等に競争」している実態です。寡占業界は5社でも上位3社で90%を握り、HHI 2950・等価企業数 3.4——「実質3〜4社の競争」です。社数を数えるより、HHI と等価企業数が競争の実効的な強さを正しく捉えます。米国の合併ガイドラインは目安として HHI 1500/2500 などの水準で集中度を区分します(基準は改訂されるため要最新確認:近年の改訂でしきい値は引き下げられています)。

2. 構造を収益性に結ぶ:クールノーのラーナー指数

集中度が高いと、なぜ儲かるのか。クールノー競争(数量競争)の均衡では、各社のマージン率が自社シェアに比例し、業界全体のシェア加重平均マージンが次の関係を満たします(導出は競争優位とは(持続的競争優位の源泉)の先、第5章 ゲーム理論)。

業界平均マージン率(ラーナー指数)=HHIε\text{業界平均マージン率(ラーナー指数)} = \frac{\mathrm{HHI}}{\varepsilon}

ここで HHI はシェアを比率(0〜1)で測った二乗和ε\varepsilon は需要の価格弾力性です。集中度(HHI)が高い・需要が硬い(ε\varepsilon が小さい)ほどマージンが厚くなります。

import numpy as np

# クールノー寡占の含意:業界平均マージン(ラーナー指数)= HHI ÷ 需要の価格弾力性
# HHI はシェアを「比率」で測った二乗和(0〜1)
def lerner_from_hhi(shares_pct, elasticity):
    s = np.array(shares_pct, dtype=float) / 100.0
    hhi_frac = np.sum(s**2)
    return hhi_frac / elasticity, hhi_frac

elasticity = 2.0   # 需要の価格弾力性
for name, sh in [("分散業界", [12, 11, 10, 10, 9, 8, 8, 8, 8, 8, 8]),
                 ("寡占業界", [40, 30, 20, 5, 5])]:
    lerner, hhi_frac = lerner_from_hhi(sh, elasticity)
    print(f"{name}: HHI(比率)={hhi_frac:.3f} → 業界平均マージン率 {lerner*100:.1f}%(弾力性{elasticity})")

出力:

分散業界: HHI(比率)=0.093 → 業界平均マージン率 4.7%(弾力性2.0)
寡占業界: HHI(比率)=0.295 → 業界平均マージン率 14.8%(弾力性2.0)

出力の意味:同じ需要弾力性(2.0)でも、寡占業界の理論マージンは 14.8% と分散業界 4.7% の約3倍です。「既存企業間の競争」(業界構造とファイブフォースの一つの力)が、HHI という測れる量として、マージンという成果に一本の式で結びつく——これが構造→行動→成果(SCP)の数理的な核です。逆に言えば、分散業界で薄利なのは構造の必然で、抜け出すには差別化で需要を非弾力化する(ε\varepsilon を下げる)か、統合で HHI を上げるかになります(→第4章・第6章)。

⚠️ よくある誤解

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