商品予算計画と仕入管理:OTB・交差比率の計算を完全解説
要点(BLUF)
商品予算計画は「売上計画 → 粗利計画 → 仕入計画 → 在庫計画」の順に落とし込む。試験頻出の計算は**OTB(仕入可能予算)と交差比率(粗利益率 × 商品回転率)**の2本柱。消化仕入れ(委託販売)と通常仕入れの違いも概念として押さえる。
1. 商品予算計画の全体フロー
小売業の商品予算計画は、売上計画を起点にして逆算していく。
flowchart TD
A["売上計画<br/>(月別・カテゴリー別)"]
B["粗利計画<br/>粗利益率の設定<br/>目標粗利額の確定"]
C["仕入計画<br/>OTBの算出<br/>(いくら仕入れられるか)"]
D["在庫計画<br/>期首在庫・期末在庫の設定<br/>在庫回転率の目標設定"]
A --> B --> C --> D
D -. "フィードバック" .-> A
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style B fill:#ED7D31,color:#fff
style C fill:#70AD47,color:#fff
style D fill:#FFC000,color:#000
2. OTB(Open To Buy:仕入可能予算)
OTBとは:「今、いくらまで追加発注できるか」を示す、実行可能な仕入余力のこと。過剰在庫・過剰仕入れを防ぐためのブレーキ機能。
OTBの計算式
あるいは在庫調整ベースで:
発注残(オープンオーダー):既に発注済みだが未入荷の商品金額を含める点が重要。
flowchart LR
A["期末在庫予算<br/>(目標期末在庫)"]
B["売上高予算<br/>(今期の売上目標)"]
C["期首在庫<br/>(今ある在庫)"]
D["発注残<br/>(発注済・未入荷)"]
E["OTB<br/>(仕入可能予算)"]
A --> E
B --> E
C --> |"マイナス"| E
D --> |"マイナス"| E
style E fill:#ff9999
OTB 計算例
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 今月の売上高予算 | 1,000万円 |
| 月末在庫予算 | 500万円 |
| 月初(期首)在庫 | 400万円 |
| 発注残 | 200万円 |
→ 今月あと900万円まで仕入れ可能。
3. 交差比率:商品の収益性評価
交差比率とは、商品の「稼ぐ力」を一本の指標で表したもの。
| 要素 | 計算式 |
|---|---|
| 粗利益率 | 粗利益 ÷ 売上高 × 100 |
| 商品回転率 | 売上高 ÷ 平均在庫高(原価ベース) |
なぜ2つを掛け合わせるのか?:粗利率が高くても回転が遅ければ在庫を抱えて資金が詰まる。回転が速くても粗利率が低ければ儲からない。両方を1本化して比較するための指標。
quadrantChart
title 交差比率による商品分類
x-axis "商品回転率(低)" --> "商品回転率(高)"
y-axis "粗利益率(低)" --> "粗利益率(高)"
quadrant-1 "理想<br/>高回転×高粗利"
quadrant-2 "高粗利低回転<br/>在庫リスクあり"
quadrant-3 "低回転低粗利<br/>削減候補"
quadrant-4 "高回転低粗利<br/>薄利多売型"
交差比率の比較例:
| 商品 | 粗利益率 | 商品回転率 | 交差比率 |
|---|---|---|---|
| A(高粗利・低回転) | 40% | 2回 | 80 |
| B(低粗利・高回転) | 20% | 6回 | 120 |
| C(中間) | 30% | 4回 | 120 |
→ 交差比率が高い B・C の方が「在庫に投資した分だけ稼ぐ力が高い」。
4. 仕入先選定と取引条件
仕入先選定の評価基準
| 基準 | 内容 |
|---|---|
| 品質 | 商品品質の安定性・クレーム率 |
| 価格 | 仕入単価・値引き条件 |
| 納期 | リードタイム・欠品対応 |
| 信頼性 | 取引実績・財務安定性 |
| 協力体制 | VMD支援・販促協力・EDI対応 |
取引条件の種類
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 建値制 | メーカーが設定した定価に基づく取引 |
| 掛け率 | 定価の何%で仕入れるか(例:掛け率70% = 定価の70%が仕入価格) |
| リベート | 目標数量達成時の割戻し金。後から返ってくる |
| 支払い条件 | 現金払い・手形払い・月末締め翌月払いなど |
5. 消化仕入れ(委託販売)と通常仕入れ
| 区分 | 内容 | 在庫リスク |
|---|---|---|
| 通常仕入れ(買取) | 仕入れた時点で小売業者が所有権を持つ。売れ残りは損失 | 小売業者が負う |
| 消化仕入れ(委託販売) | 売れた時点で仕入れ計上。売れ残りはメーカーに返品可 | メーカーが負う |
| 返品条件付き仕入れ | 買取だが一定割合の返品が可能。書籍・雑誌が典型 | 一部リスク共有 |
消化仕入れのポイント:
- 会計上は「売上計上時 = 仕入計上時」となるため、期末在庫は小売業者のB/Sに計上されない
- 百貨店が採用することが多い(アパレルなど季節性・トレンド変動大の商品)
6. 試験での問われ方
- OTBの計算(期末在庫予算・売上予算・期首在庫・発注残の関係) → 計算問題(頻出)
- 交差比率の計算と商品の優先順位判断 → 計算問題(頻出)
- 消化仕入れと通常仕入れの在庫リスクの違い → 選択問題
- 掛け率・リベートの概念 → 選択問題
よくある疑問
Q. OTBに「発注残」を引くのはなぜ?
発注済みだが未入荷の商品は、入荷すれば在庫になる。それを無視して追加発注すると二重に仕入れてしまうため、既にコミットした金額として差し引く必要がある。
Q. 交差比率は「大きければいい」という単純な話ではないの?
基本はその通りだが、高交差比率商品ばかりに偏ると品揃えが崩れて来客数が落ちる。ロスリーダー(集客のための低粗利商品)は意図的に低交差比率になる。あくまで商品ポートフォリオを評価するための指標。
Q. 消化仕入れのどこが小売業にとってメリット?
在庫リスクをメーカーに転嫁できる点。ただし仕入原価が通常より高めに設定されることが多く、粗利率は下がりやすい。
まとめ
- 商品予算計画:売上計画 → 粗利計画 → 仕入計画 → 在庫計画の流れ
- OTB = 期末在庫予算 + 売上高予算 − 期首在庫 − 発注残
- 交差比率 = 粗利益率 × 商品回転率:在庫投資に対する収益性を一本化
- 消化仕入れ:売れた時点で仕入計上。在庫リスクはメーカーが負担
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