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🎓 レベル:標準 | 重要度:B(推奨)

📎 前提:リソースベースドビュー(RBV)(内部の能力)・競争優位とは(持続的競争優位の源泉)(コスト優位=楔の片側)

要点(BLUF)

1. コスト構造と営業レバレッジ

同じ売上でも、**固定費が重い構造(自動化型)変動費が重い構造(労働集約型)**では利益の振る舞いが違います。限界利益(売上−変動費)から固定費を引いたものが営業利益で、

営業レバレッジ=限界利益営業利益,損益分岐点売上=固定費1変動費率\text{営業レバレッジ} = \frac{\text{限界利益}}{\text{営業利益}}, \qquad \text{損益分岐点売上} = \frac{\text{固定費}}{1 - \text{変動費率}}

営業レバレッジは「売上が1%動くと営業利益が何%動くか」の増幅率です。

import numpy as np
import pandas as pd

# 2社のコスト構造:高固定費(自動化)vs 低固定費(労働集約)
firms = pd.DataFrame({
    "企業":     ["自動化型", "労働集約型"],
    "固定費":   [600, 200],       # 万円/月
    "変動費率": [0.30, 0.70],     # 売上1に対する変動費の割合
})
sales = 1000.0   # 月商(万円)

firms["限界利益"]       = sales * (1 - firms["変動費率"])
firms["営業利益"]       = firms["限界利益"] - firms["固定費"]
firms["損益分岐点売上"] = firms["固定費"] / (1 - firms["変動費率"])
firms["営業レバレッジ"] = firms["限界利益"] / firms["営業利益"]
print(firms.to_string(index=False, float_format=lambda x: f"{x:.1f}"))

# 売上が +10% 動いたときの営業利益の変化率(営業レバレッジの効果)
for _, r in firms.iterrows():
    op_up = sales * 1.10 * (1 - r["変動費率"]) - r["固定費"]
    pct = (op_up - r["営業利益"]) / r["営業利益"] * 100
    print(f"{r['企業']}: 売上+10% → 営業利益 {r['営業利益']:.0f}{op_up:.0f}{pct:+.1f}%)")

出力:

   企業  固定費  変動費率  限界利益  営業利益  損益分岐点売上  営業レバレッジ
 自動化型  600   0.3 700.0 100.0    857.1      7.0
労働集約型  200   0.7 300.0 100.0    666.7      3.0
自動化型: 売上+10% → 営業利益 100→170(+70.0%)
労働集約型: 売上+10% → 営業利益 100→130(+30.0%)

出力の意味:両社とも月商1000では営業利益100で同じですが、自動化型は営業レバレッジ7.0、労働集約型は3.0。売上が+10%動くと、自動化型の利益は**+70%、労働集約型は+30%**——固定費が重いほど、好況では利益が大きく跳ね、不況では深く沈みます。損益分岐点も自動化型のほうが高い(857 対 667)。コスト構造の選択は「リターンの増幅率とリスク」の選択であり、需要が安定し量を見込める事業ほど高固定費・低変動費(自動化)が有利になります。

2. 経験曲線:累積生産量が生むコスト優位

規模そのものより、累積生産量が単位コストを下げます。経験曲線は「累積生産量が倍になるごとに単位コストが一定率(学習率)に下がる」関係です。

C(x)=C1xb,b=ln(学習率)ln2C(x) = C_1 \, x^{-b}, \qquad b = -\frac{\ln(\text{学習率})}{\ln 2}

学習率85%なら、累積が倍になるたび単位コストが前の85%になります。

import numpy as np

# 経験曲線:累積生産量が2倍になるごとに単位コストが学習率倍に下がる
learning_rate = 0.85                       # 85%経験曲線
b  = -np.log(learning_rate) / np.log(2)    # コスト弾力性
C1 = 100.0                                  # 初号機の単位コスト

# リーダー(累積1000)と後発(累積200)の単位コスト
for name, cum in [("リーダー", 1000), ("後発", 200)]:
    cost = C1 * cum ** (-b)
    print(f"{name}(累積{cum}):単位コスト {cost:.1f}")

cost_leader = C1 * 1000 ** (-b)
cost_follow = C1 * 200  ** (-b)
print(f"コスト弾力性 b={b:.3f}")
print(f"コスト差:後発はリーダーの {cost_follow / cost_leader:.2f} 倍")

出力:

リーダー(累積1000):単位コスト 19.8
後発(累積200):単位コスト 28.9
コスト弾力性 b=0.234
コスト差:後発はリーダーの 1.46 倍

出力の意味:累積生産量で先行するリーダーの単位コストは 19.8、後発は 28.9——後発のコストはリーダーの1.46倍です。これは技術力の差ではなく、ただ多く作ってきたことから来る構造的なコスト優位(学習・規模・工程改善の蓄積)。だから市場シェア(=累積生産の差)が自己強化的なコスト優位を生み、業界収益性の定量化(集中度とHHI)の集中度や第4章のコストリーダーシップに直結します。後発が追いつくには、同じ曲線を速く下る(量を作る)か、別の曲線(新技術・新工程)に乗り換えるしかありません。

⚠️ よくある誤解

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