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🎓 レベル:応用 | 重要度:A(必須)

📎 前提:ナッシュ均衡と囚人のジレンマ(均衡)・価格競争(ベルトランとクールノー)

要点(BLUF)

1. 参入ゲームと後ろ向き帰納法

参入者がまず「参入/不参入」を選び、参入された既存企業が「戦う/受け入れる」を選びます。

flowchart LR
  E{"参入者"} -- "不参入" --> O["(参入者0, 既存10)"]
  E -- "参入" --> I{"既存企業"}
  I -- "戦う" --> F["(参入者-2, 既存2)"]
  I -- "受け入れる" --> A["(参入者3, 既存5)"]

後ろ向きに解きます。既存企業は参入された局面で「戦う(2)」と「受け入れる(5)」を比べ、得な方を選ぶ。参入者はそれを読んで「参入/不参入」を決めます。

# 参入ゲームを後ろ向き帰納法で解く
def solve_entry(fight, accommodate, out_payoff):
    # 各 (参入者の利得, 既存の利得)
    inc_choice = "戦う" if fight[1] > accommodate[1] else "受け入れる"   # 既存の最適手
    inc_pay = max(fight[1], accommodate[1])
    ent_pay = fight[0] if inc_choice == "戦う" else accommodate[0]
    if ent_pay > out_payoff[0]:                                          # 参入者は参入が得か
        return "参入", inc_choice, (ent_pay, inc_pay)
    return "不参入", inc_choice, out_payoff

res1 = solve_entry(fight=(-2, 2), accommodate=(3, 5), out_payoff=(0, 10))
print("【コミットメント前】")
print(f"  既存は参入時に『{res1[1]}』 → 参入者は『{res1[0]}』")
print(f"  結果の利得(参入者, 既存)= {res1[2]}")

出力:

【コミットメント前】
  既存は参入時に『受け入れる』 → 参入者は『参入』
  結果の利得(参入者, 既存)= (3, 5)

出力の意味:既存企業は、参入されたら「戦う(2)」より「受け入れる(5)」が得。だから「参入したら戦うぞ」という脅しは信頼できない(非信用的)——参入者はそれを見抜いて参入し、結果は(参入者3, 既存5)。既存は独占の10を失います。部分ゲーム完全均衡では、各局面で実際に最適な手しか脅しに使えないのです。

2. コミットメントが脅しを信頼可能にする

ここで既存企業が、参入前に後戻りできない過剰設備K=2K=2 を投じるとします(埋没費用)。設備があると、いざ戦うとき低コストで増産でき、戦うことが事後的に最適になります。利得構造が変わります。

def solve_entry(fight, accommodate, out_payoff):
    inc_choice = "戦う" if fight[1] > accommodate[1] else "受け入れる"
    inc_pay = max(fight[1], accommodate[1])
    ent_pay = fight[0] if inc_choice == "戦う" else accommodate[0]
    if ent_pay > out_payoff[0]:
        return "参入", inc_choice, (ent_pay, inc_pay)
    return "不参入", inc_choice, out_payoff

res1 = solve_entry(fight=(-2, 2), accommodate=(3, 5), out_payoff=(0, 10))   # 前節

# コミットメント後:設備投資 K=2 で「戦う」が事後最適に(戦う利得が上昇、独占利得は K だけ減る)
K = 2
res2 = solve_entry(fight=(-2, 6), accommodate=(3, 3), out_payoff=(0, 10 - K))
print("【コミットメント後(設備投資 K=2)】")
print(f"  既存は参入時に『{res2[1]}』 → 参入者は『{res2[0]}』")
print(f"  結果の利得(参入者, 既存)= {res2[2]}")
print(f"  既存の利得:コミット前 {res1[2][1]} → コミット後 {res2[2][1]}(脅しが信頼可能に)")

出力:

【コミットメント後(設備投資 K=2)】
  既存は参入時に『戦う』 → 参入者は『不参入』
  結果の利得(参入者, 既存)= (0, 8)
  既存の利得:コミット前 5 → コミット後 8(脅しが信頼可能に)

出力の意味:設備投資で「戦う」利得が 2→6 に上がると、参入された既存企業は今度は本当に戦うのが最適。参入者はそれを読んで不参入を選び、既存企業は独占利得から KK を引いた 8 を得ます。コミットメント前の 5 より良い。ポイントは、自分の選択肢をあえて狭める(後戻りできない投資をする)ことが、相手の行動を変えて自分を有利にすること。「退路を断つ」ことが戦略的価値を生む——シェリングの言うコミットメントの逆説です。同じ論理が、生産能力の先行拡大・長期契約・評判づくりなど、現実の参入抑止策を貫いています。

⚠️ よくある誤解

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