🎓 第4章:状態空間とカルマン
第4章 状態空間とカルマンフィルタ
ARIMA(第2章 ARIMA系モデル 目次)や ETS(第3章 指数平滑と分解 目次)は、それぞれ自己相関や指数平滑として時系列を表しました。本章は、それらを一つの上位言語にまとめます——状態空間モデルです。「見えない状態 が時間発展し、観測 はその状態にノイズが乗ったもの」を観測方程式+状態方程式で書くと、ARIMA も ETS も AR も同じ箱に収まり、推定・予測・平滑化・欠測処理が全部同じアルゴリズムで回ります。その推定の心臓がカルマンフィルタ(予測→更新の逐次更新=ガウス版のベイズ更新)。代表モデルのローカルレベル/ローカル線形トレンドで分散を復元して予測区間つき予測を行い、フィルタと平滑化の違い、欠測の不確実性つき補間までを、真の隠れ状態を仕込んだ擬似系列での復元・追跡・補間で確かめます。
トピック一覧
- 状態空間モデルの枠組み — 標準
- カルマンフィルタ — 標準
- ローカルレベルとローカルトレンドモデル — 標準
- 平滑化と欠測補間 — 標準
この章の要点
- 状態空間モデル:(観測・)と (状態・)。行列 を差し替えれば ARIMA/ETS/AR が同じ形に。ETS の単一誤差源(SSOE)と違い観測ノイズ と状態ノイズ を分けた複数誤差源。
- カルマンフィルタ:各時点で予測(事前 )→ 観測で更新(事後 、ゲイン )。これはベイズ逐次更新のガウス版で、 は予測と観測の逆分散加重平均。観測ノイズが大きいほどゲインは小さい(観測を割り引く)。自前実装が真の隠れ水準を相関0.91で追え、
statsmodelsと一致。 - ローカルレベル/ローカル線形トレンド:信号対雑音比 が滑らかさを決める。
UnobservedComponentsで分散を復元( 0.5→0.465 等)、予測区間つき予測。ローカルレベル⟺ARIMA(0,1,1)、ローカル線形トレンド⟺ARIMA(0,2,2)。トレンド系列では傾きの外挿が素朴を圧倒(RMSE 1.85 vs 24.2)。 - 平滑化と欠測:フィルタ(過去のみ・オンライン)vs スムーザー(全データ・オフラインで分散小・RMSE小)。欠測は NaN のまま渡せばカルマンが不確実性つきで補間。予測は「未来が全部欠測」の特殊ケースとして統一的に理解。
関連章
- 第3章 指数平滑と分解 — ETS の状態空間表現(SSOE)の一般化(第3章 指数平滑と分解 目次、特に ETSモデルと状態空間表現)
- 第2章 ARIMA系モデル — ARIMA も状態空間に書ける/ローカルレベル⟺ARIMA(0,1,1)(第2章 ARIMA系モデル 目次)
- 第5章 多変量時系列 — 状態空間の多変量化・VAR(予定)
統計・ベイズサイトとの関係
- カルマンフィルタはベイズ逐次更新の連続版——事前×尤度→事後を時間方向に繰り返す(ベイズ統計テキスト ベイズ更新と逐次推論・正規共役 正規正規モデル)。
- 確率過程の土台は統計検定テキスト第8章 確率過程(マルコフ連鎖・ポアソン過程)(ランダムウォーク・状態のダイナミクス)。
- 状態空間のベイズ推定(分散にも事前を置き MCMC で推定)は第7章 ベイズ時系列で扱う予定。