🎓 第7章:ベイズ時系列
第7章 ベイズ時系列
第4章では状態空間モデルの分散 を最尤で点推定し、カルマンで状態を逐次推定しました。本章はその上にベイズを載せます——未知量(分散・係数)に事前分布を置き、観測を条件に事後分布を得る。返ってくるのは点でなく分布なので、トレンドや季節の各成分が信用区間つきで出て、予測も事後予測分布として不確実性込みで出るのが最大の利点です。柱は3つ。まず ベイズ構造時系列——「トレンド+季節+(回帰)+ノイズ」を状態空間で分解し各成分に事前を置く。成分を 信用区間つきで復元し、事後予測で予測区間を出します(ベイズ構造時系列)。次に 状態空間の MCMC——線形ガウスならカルマンが状態を解析的に消して周辺尤度を返すので、 に事前を置き「カルマン尤度 × 事前」を MCMC で回す。最尤の点推定がベイズ事後のモードに当たることを数値で確かめ、カルマン(状態)と MCMC(パラメータ)の役割分担を整理します(状態空間のMCMC(カルマン×ベイズ))。最後に Prophet——区分線形トレンド(changepoints)+フーリエ季節+休日を加法分解する実務向けツール。解釈しやすく欠測・外れ値に強く、predict 一行で不確実区間つき予測が出ます(Prophet(分解+ベイズ)、要最新確認)。いずれも真の構造を仕込んだ擬似系列で復元・対比・予測を検証します。
トピック一覧
- ベイズ構造時系列 — 標準
- 状態空間のMCMC(カルマン×ベイズ) — 発展
- Prophet(分解+ベイズ) — 標準
この章の要点
- ベイズ構造時系列:トレンド(ランダムウォーク・非中心化)+フーリエ季節+ノイズの各成分に事前を置き PyMC で同時推定。真の構造を仕込んだ系列で、トレンド事後平均 RMSE ・信用帯が真のトレンドを 被覆、季節フーリエ係数を (真値 )と復元。事後予測でホールドアウトを 被覆し、区間幅は 期先 → 期先 と先ほど広がる。最尤(ローカルレベルとローカルトレンドモデル)は を点で固定するのに対し、ベイズはパラメータ不確実性を予測に伝播。
- 状態空間の MCMC(カルマン×ベイズ):04-03 と同じローカルレベル系列で を PyMC 推定。
statsmodelsの最尤()が、ベイズ事後のモード( の KDE 最頻 、)に当たることを可視化。分散の事後は右に歪み( 平均 > 中央値 > 最頻)、真値 は中央値・ は 区間 内。カルマン(状態の逐次更新)と MCMC(パラメータ探索)の分業、非ガウス・非線形での粒子フィルタにも言及。 - Prophet(分解+ベイズ・prophet 1.3.0):区分線形トレンド(changepoint にラプラス事前)+フーリエ季節を加法分解。トレンド傾きを (真値 )と復元し成分(trend/yearly)を取り出し、
yhat_lower/upperで予測区間。屈折系列では推定傾き 前半 ・後半 (真 )と changepoint を捉え、ホールドアウト RMSE は Prophet vs SARIMA 。既定 MAP 区間は季節の不確実性を含まずやや狭い(カバレッジ )点、純粋な自己相関は ARIMA が得意な点も明示。
関連章
- 第4章 状態空間とカルマン — 本章の土台。最尤での点推定(ローカルレベルとローカルトレンドモデル)にベイズを載せる/カルマンが状態を消して尤度を返す(カルマンフィルタ)
- 第3章 指数平滑と分解 — 分解志向の予測。Prophet は STL(STL分解)・ETS(ETSモデルと状態空間表現)と同じ「分解+予測区間」の系譜
- 第2章 ARIMA系モデル — Prophet(分解)と SARIMA(自己相関)の使い分け(季節ARIMA(SARIMA))
- 第6章 ボラティリティ — 非ガウス状態空間(確率的ボラティリティ)はベイズ/粒子フィルタの領域(第6章 ボラティリティ 目次)
統計・ベイズサイトとの関係
- MCMC の基礎(メトロポリスヘイスティングス・ハミルトニアンモンテカルロとNUTS・収束診断)、事後予測(信用区間と事後予測分布)、係数への事前(ベイズ線形回帰・正則化との関係)はベイズ統計テキストへ。
- カルマン=ベイズ逐次更新の連続版(ベイズ更新と逐次推論)。時系列側は「状態空間・分解のベイズ推定」に絞り、MCMC やベイズ回帰の一般論はベイズサイトに委ねます。