🎓 第6章:ボラティリティ
第6章 ボラティリティ
ここまで(第1〜5章)は、過去から水準(条件付き平均)を予測するモデルでした——ARIMA も状態空間も VAR も「次の値はいくつか」を当て、誤差の分散は一定と仮定していました。本章は視点を一段ずらし、条件付き分散=ボラティリティ が時間変化する現象を扱います。金融リターンに典型で、平均はほぼ予測不能なのに、変動の大きさは時期で大きく変わる(荒れる時期と凪の時期がある)。柱は2つ。まず ARCH/GARCH——分散を過去のショックの2乗(ARCH)や過去の分散(GARCH)で決める漸化式で、定番の GARCH(1,1) の定常条件 と無条件分散 を押さえます。次に ボラティリティクラスタリングと予測——大変動の後に大変動が続く性質を「リターンの ACF は0でもリターン2乗の ACF は有意」という指紋で捉え(定常性と自己相関)、ARCH 効果の検定と、時変の予測区間 によるボラ予測(多期先は無条件分散へ収束)まで進みます。いずれも真の を仕込んだ擬似 GARCH 系列で、復元・検定・予測を数値で確かめます。
トピック一覧
- ARCHとGARCHモデル — 標準
- ボラティリティクラスタリングと予測 — 標準
この章の要点
- ARCH/GARCH:ARCH() は 、GARCH() は過去の分散も足して 。定番 GARCH(1,1) は定常条件 ・無条件分散 。真の を
archが復元(・持続性 )、推定ボラ は無条件SD の周りで 〜 を揺れ、高ボラ期の ()が低ボラ期()より大きい=クラスタリングを可視化。 - ボラティリティクラスタリングと予測:リターンの ACF は帯 内()でも、リターン2乗の ACF は有意()。Ljung-Box はリターン vs 2乗 、ARCH-LM で ARCH 効果を検出。GARCH 予測は時変95%帯 が幅 〜 と伸縮しリターンの を被覆、多期先の分散予測は の から無条件分散 へ収束(ARIMA の単調拡大との対比)。VaR への接続も一言。
関連章
- 第2章 ARIMA系モデル — 条件付き平均のモデル化との対比(第2章 ARIMA系モデル 目次、特に ARMA・ARIMAモデル)/残差2乗のARCH効果点検から GARCH へ(モデル選択と残差診断)
- 第1章 時系列の基礎 — ACF・2乗のACF・弱定常(定常性と自己相関)/予測の評価とウォークフォワード(予測の評価指標と時系列CV)
- 第3章 指数平滑と分解 — GARCH は分散の指数平滑という見方(指数平滑法(SES・Holt・Holt-Winters))
統計・ベイズサイトとの関係
- 定常過程・分散・条件付き期待値の土台は統計検定テキスト第8章 確率過程(マルコフ連鎖・ポアソン過程)。
- ボラティリティの状態空間・ベイズ的な確率的ボラティリティ(SV)モデルは第7章 ベイズ時系列で扱います(予定)。