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📊 対象級:準1級 | 重要度:B(標準)

指数分布・ガンマ分布・ベータ分布

要点(BLUF)

連続型の重要3分布をまとめて扱います。3行でいうと:

  fExp(x)=λeλxfGa(x)=1Γ(α)βαxα1ex/βfBeta(x)=1B(a,b)xa1(1x)b1  \boxed{\;f_{\mathrm{Exp}}(x)=\lambda e^{-\lambda x}\quad f_{\mathrm{Ga}}(x)=\frac{1}{\Gamma(\alpha)\beta^{\alpha}}x^{\alpha-1}e^{-x/\beta}\quad f_{\mathrm{Beta}}(x)=\frac{1}{B(a,b)}x^{a-1}(1-x)^{b-1}\;}

(要するに)3つとも「ガンマ関数 Γ\Gamma」を骨格に持つ親戚で、指数 ⊂ ガンマ、χ2\chi^2 ⊂ ガンマ、そしてガンマからベータが作れる、という階層関係にあります。


分布間の関係(全体地図)

指数・ガンマ・ベータ分布のパラメータ別の形

左:指数(率λ)は右下がり/中:ガンマ(形状k)はkで山が右へ/右:ベータ(a,b)はU字〜山型〜偏りと多彩。図は simulations/shisuu_gamma_beta_keijou.py で生成。

まず全体像を掴んでおくと、個々の証明が「地図のどこの話か」見失わずに済みます。

flowchart TD
    P["ポアソン過程<br/>(単位時間あたり λ 回)"] -->|"事象間の待ち時間"| E["指数分布 Exp(λ)<br/>= Ga(1, 1/λ)"]
    E -->|"独立な α 個の和<br/>(再生性)"| G["ガンマ分布 Ga(α, β)<br/>α 整数ならアーラン分布"]
    N["標準正規 N(0,1)"] -->|"2乗の和<br/>Z₁²+…+Zₙ²"| C["カイ二乗分布 χ²(n)<br/>= Ga(n/2, 2)"]
    G -->|"α=n/2, β=2"| C
    G -->|"X/(X+Y) を作る<br/>X,Y は独立ガンマ"| B["ベータ分布 Beta(a, b)<br/>[0,1] 上"]
    B -->|"a=b=1"| U["一様分布 U(0,1)"]
    B -->|"二項の共役事前 / 順序統計量"| BAYES["ベイズ推論・順序統計量"]

(要するに)指数分布は最も単純なガンマ分布α=1\alpha=1)であり、カイ二乗分布もガンマ分布の特殊ケースα=n/2, β=2\alpha=n/2,\ \beta=2)。ベータ分布は2つの独立なガンマから比を取ると現れます。すべての中心にガンマ関数があります。


1. 指数分布 Exp(λ)\mathrm{Exp}(\lambda)

重要度はこの3分布の中で指数分布が最も高い(A寄り)。準1級では「無記憶性の証明」「待ち時間との対応」「中央値計算」が頻出です。

1.1 定義(PDF・CDF)

事象が単位時間あたり平均 λ\lambda 回のペースでランダムに起こるとき、ある事象から次の事象までの待ち時間 XX が従う分布です。rate型(パラメータ λ\lambda)で書くと:

f(x)=λeλx(x>0),F(x)=P(Xx)=1eλxf(x)=\lambda e^{-\lambda x}\quad(x>0),\qquad F(x)=P(X\le x)=1-e^{-\lambda x}

生存関数(その時刻まで「まだ起きていない」確率)が指数の本体です:

Fˉ(x)=P(X>x)=eλx\bar F(x)=P(X>x)=e^{-\lambda x}

(要するに)λ\lambda が大きい=事象が頻繁=待ち時間は短い。CDF が 1eλx1-e^{-\lambda x} という形を覚えておけば、無記憶性も中央値も全部ここから出ます。

1.2 期待値 E[X]=1/λE[X]=1/\lambda の導出

部分積分で計算します。各ステップに意味を添えます。

E[X]=0xλeλxdxE[X]=\int_0^\infty x\cdot\lambda e^{-\lambda x}\,dx

部分積分 udv=uvvdu\int u\,dv = uv-\int v\,du で、u=x, dv=λeλxdxu=x,\ dv=\lambda e^{-\lambda x}dx(よって v=eλxv=-e^{-\lambda x})とおくと:

E[X]=[xeλx]0+0eλxdx=0+[1λeλx]0=1λE[X]=\Big[-x e^{-\lambda x}\Big]_0^\infty+\int_0^\infty e^{-\lambda x}\,dx =0+\left[-\frac{1}{\lambda}e^{-\lambda x}\right]_0^\infty=\frac{1}{\lambda}

(要するに)境界項 xeλx-xe^{-\lambda x}xx\to\infty00(指数が多項式に勝つ)、x=0x=0 でも 00。残った積分が 1/λ1/\lambda平均待ち時間はレートの逆数という直観そのままです。

1.3 分散 V[X]=1/λ2V[X]=1/\lambda^2 の導出

まず E[X2]E[X^2] を同様に部分積分(または Γ\Gamma 関数)で:

E[X2]=0x2λeλxdx=2λ2E[X^2]=\int_0^\infty x^2\lambda e^{-\lambda x}\,dx=\frac{2}{\lambda^2}

よって

V[X]=E[X2](E[X])2=2λ21λ2=1λ2V[X]=E[X^2]-(E[X])^2=\frac{2}{\lambda^2}-\frac{1}{\lambda^2}=\frac{1}{\lambda^2}

(要するに)標準偏差 =1/λ==1/\lambda= 平均と等しい。指数分布は変動係数 CV =σ/μ=1=\sigma/\mu=1 が常に成り立つのが特徴です。

1.4 積率母関数(MGF)

MX(t)=E[etX]=0etxλeλxdx=λ0e(λt)xdx=λλt(t<λ)M_X(t)=E[e^{tX}]=\int_0^\infty e^{tx}\lambda e^{-\lambda x}\,dx =\lambda\int_0^\infty e^{-(\lambda-t)x}\,dx=\frac{\lambda}{\lambda-t}\quad(t<\lambda)

(要するに)t<λt<\lambda でしか収束しません。この MGF はガンマ分布の MGF の α=1\alpha=1 ケースで、後で「指数の和=ガンマ」を MGF で示すときの部品になります。

1.5 無記憶性(memoryless property)の証明

指数分布の最重要性質。「すでに ss だけ待った」という情報が、その先の待ち時間の分布を一切変えません:

P(X>s+tX>s)=P(X>t)(s,t>0)P(X>s+t \mid X>s)=P(X>t)\qquad(s,t>0)

証明:条件付き確率の定義から。{X>s+t}{X>s}\{X>s+t\}\subset\{X>s\} なので分子の同時事象は {X>s+t}\{X>s+t\} そのもの:

P(X>s+tX>s)=P(X>s+t, X>s)P(X>s)=P(X>s+t)P(X>s)=eλ(s+t)eλs=eλt=P(X>t)P(X>s+t\mid X>s) =\frac{P(X>s+t,\ X>s)}{P(X>s)} =\frac{P(X>s+t)}{P(X>s)} =\frac{e^{-\lambda(s+t)}}{e^{-\lambda s}} =e^{-\lambda t}=P(X>t)

(要するに)生存関数が指数関数だから eλ(s+t)/eλs=eλte^{-\lambda(s+t)}/e^{-\lambda s}=e^{-\lambda t} と指数法則できれいに約分される。「電球が10年もった、では残り寿命は?→新品と同じ」という性質です。経年劣化を表せないのが裏返しの弱点。

逆も真:連続型分布で無記憶性を持つのは指数分布のみです。生存関数 g(x)=P(X>x)g(x)=P(X>x)g(s+t)=g(s)g(t)g(s+t)=g(s)g(t)(コーシーの関数方程式の指数版)を満たし、単調かつ右連続なら g(x)=eλxg(x)=e^{-\lambda x} に限られるため。

(要するに)「連続で無記憶 ⇒ 指数」は一意。離散版では幾何分布が唯一の無記憶分布で、指数分布はその連続極限です。

1.6 ポアソン過程との関係(待ち時間)

ポアソン分布と表裏一体です。単位時間あたり平均 λ\lambda 回のポアソン過程を考えると:

これを使って指数分布の CDF が直接出ます:

P(X>t)=P(N(t)=0)=(λt)0eλt0!=eλtP(X>t)=P(N(t)=0)=\frac{(\lambda t)^0 e^{-\lambda t}}{0!}=e^{-\lambda t}

(要するに)回数を数えればポアソン、間隔を測れば指数。同じ現象の2つの見方です。λ\lambda の意味(rate)が両者で共有されているのがポイント。


2. ガンマ分布 Ga(α,β)\mathrm{Ga}(\alpha,\beta)

準1級では「指数の和=ガンマ」「再生性」「カイ二乗との対応」が問われます。パラメータ化の流派に注意(後述)。

2.1 ガンマ関数の準備

ガンマ分布の前に、正規化に使うガンマ関数を確認します:

Γ(α)=0tα1etdt(α>0)\Gamma(\alpha)=\int_0^\infty t^{\alpha-1}e^{-t}\,dt\qquad(\alpha>0)

重要な性質:

(要するに)ガンマ関数は階乗を実数に拡張したもの。これが分布の「分母(正規化定数)」になります。

2.2 定義(scale型のPDF)── 本ノートの採用流派

本ノートでは α\alpha=形状(shape)、β\beta=尺度(scale)の scale型を主に使います:

f(x)=1Γ(α)βαxα1ex/β(x>0),α>0, β>0f(x)=\frac{1}{\Gamma(\alpha)\,\beta^{\alpha}}\,x^{\alpha-1}e^{-x/\beta}\quad(x>0),\qquad \alpha>0,\ \beta>0

このとき:

E[X]=αβ,V[X]=αβ2E[X]=\alpha\beta,\qquad V[X]=\alpha\beta^2

指数分布との接続α=1\alpha=1 とおくと Γ(1)=1\Gamma(1)=1 なので f(x)=1βex/βf(x)=\frac{1}{\beta}e^{-x/\beta}、これは scale =β=1/λ=\beta=1/\lambda の指数分布そのもの。つまり

Exp(λ)=Ga ⁣(1, 1λ)\mathrm{Exp}(\lambda)=\mathrm{Ga}\!\left(1,\ \tfrac{1}{\lambda}\right)

(要するに)形状 α\alpha が「指数を何個足したか」、尺度 β\beta が「1個あたりの平均待ち時間」。α\alpha を整数に限ったガンマ分布がアーラン分布です。

2.3 期待値・分散の導出(scale型)

nn 次モーメントをガンマ関数で一気に出します。y=x/βy=x/\beta と置換すると:

E[Xn]=0xnxα1ex/βΓ(α)βαdx=βnΓ(α)0yα+n1eydy=βnΓ(α+n)Γ(α)E[X^n]=\int_0^\infty x^n\frac{x^{\alpha-1}e^{-x/\beta}}{\Gamma(\alpha)\beta^\alpha}dx =\frac{\beta^n}{\Gamma(\alpha)}\int_0^\infty y^{\alpha+n-1}e^{-y}\,dy =\frac{\beta^n\,\Gamma(\alpha+n)}{\Gamma(\alpha)}

漸化式 Γ(α+1)=αΓ(α)\Gamma(\alpha+1)=\alpha\Gamma(\alpha) を使って:

E[X]=βΓ(α+1)Γ(α)=αβ,E[X2]=β2Γ(α+2)Γ(α)=α(α+1)β2E[X]=\frac{\beta\,\Gamma(\alpha+1)}{\Gamma(\alpha)}=\alpha\beta,\qquad E[X^2]=\frac{\beta^2\,\Gamma(\alpha+2)}{\Gamma(\alpha)}=\alpha(\alpha+1)\beta^2 V[X]=α(α+1)β2(αβ)2=αβ2V[X]=\alpha(\alpha+1)\beta^2-(\alpha\beta)^2=\alpha\beta^2

(要するに)置換でガンマ関数の積分(値は Γ(α+n)\Gamma(\alpha+n))に化け、漸化式で階乗的に展開されるだけ。α=1\alpha=1 を代入すれば指数分布の E=β, V=β2E=\beta,\ V=\beta^2 に戻ります。

2.4 「指数の和=ガンマ」の証明(MGF)

主張X1,,XαX_1,\dots,X_\alpha が独立同分布で各 XiExp(λ)=Ga(1,1/λ)X_i\sim\mathrm{Exp}(\lambda)=\mathrm{Ga}(1,1/\lambda) のとき、和 S=i=1αXiS=\sum_{i=1}^{\alpha}X_iGa(α,1/λ)\mathrm{Ga}(\alpha,\,1/\lambda) に従う。

証明:MGF は独立なら積になる性質を使います。指数分布の MGF は §1.4 より MXi(t)=λλt=11βtM_{X_i}(t)=\dfrac{\lambda}{\lambda-t}=\dfrac{1}{1-\beta t}β=1/λ\beta=1/\lambda)。よって

MS(t)=i=1αMXi(t)=(11βt)α=(1βt)α(t<1/β)M_S(t)=\prod_{i=1}^{\alpha}M_{X_i}(t)=\left(\frac{1}{1-\beta t}\right)^{\alpha}=(1-\beta t)^{-\alpha}\quad(t<1/\beta)

一方、scale型ガンマ Ga(α,β)\mathrm{Ga}(\alpha,\beta) の MGF を計算すると 0etxf(x)dx=(1βt)α\int_0^\infty e^{tx}f(x)dx=(1-\beta t)^{-\alpha} で一致。MGF が一致すれば分布が一致するので、SGa(α,β)S\sim\mathrm{Ga}(\alpha,\beta)。∎

(要するに)独立な指数の和は MGF がべき乗になり、それがちょうどガンマの MGF。「待ち時間を α\alpha 個積み重ねた総時間」がガンマ分布、というポアソン過程の直観と一致します(α\alpha 回目の事象までの待ち時間)。

2.5 再生性

ガンマ分布は尺度 β\beta が共通なら和について閉じています:

XGa(α1,β), YGa(α2,β), 独立  X+YGa(α1+α2,β)X\sim\mathrm{Ga}(\alpha_1,\beta),\ Y\sim\mathrm{Ga}(\alpha_2,\beta),\ \text{独立} \ \Longrightarrow\ X+Y\sim\mathrm{Ga}(\alpha_1+\alpha_2,\beta)

MGF で (1βt)α1(1βt)α2=(1βt)(α1+α2)(1-\beta t)^{-\alpha_1}\cdot(1-\beta t)^{-\alpha_2}=(1-\beta t)^{-(\alpha_1+\alpha_2)} から即座に出ます。

(要するに)形状パラメータが足し算される。§2.4 の「指数の和」はこの再生性の特殊例(αi=1\alpha_i=1α\alpha 個)です。ただし β\beta が違うガンマ同士は再生性を持たない(後述の引っかけ)。

2.6 カイ二乗分布との関係

カイ二乗分布はガンマ分布の特殊ケースです(t分布・カイ二乗分布・F分布(標本分布の三役)へ接続):

χ2(n)=Ga ⁣(n2, 2)\chi^2(n)=\mathrm{Ga}\!\left(\frac{n}{2},\ 2\right)

scale型の PDF に α=n/2, β=2\alpha=n/2,\ \beta=2 を代入すると、確かに自由度 nn のカイ二乗分布の PDF 12n/2Γ(n/2)xn/21ex/2\dfrac{1}{2^{n/2}\Gamma(n/2)}x^{n/2-1}e^{-x/2} になります。これより:

(要するに)カイ二乗の「平均=自由度 nn、分散=2n2n」はガンマの αβ, αβ2\alpha\beta,\ \alpha\beta^2 から自動的に出ます。標準正規 ZN(0,1)Z\sim N(0,1) の2乗 Z2χ2(1)=Ga(1/2,2)Z^2\sim\chi^2(1)=\mathrm{Ga}(1/2,2) という橋も覚えておくと、正規→カイ二乗→ガンマが一本の線でつながります。


3. ベータ分布 Beta(a,b)\mathrm{Beta}(a,b)

準1級では「ベイズの共役事前分布」「事後分布の計算」「順序統計量との関係」「期待値・分散の公式」が問われます。

3.1 定義(PDF・定義域)

[0,1][0,1] 上の連続分布。a>0, b>0a>0,\ b>0 に対して:

f(x)=1B(a,b)xa1(1x)b1(0<x<1)f(x)=\frac{1}{B(a,b)}\,x^{a-1}(1-x)^{b-1}\quad(0<x<1)

ここで B(a,b)B(a,b)ベータ関数で、ガンマ関数と次の関係を持ちます(これがガンマとベータの接続点):

B(a,b)=01xa1(1x)b1dx=Γ(a)Γ(b)Γ(a+b)B(a,b)=\int_0^1 x^{a-1}(1-x)^{b-1}\,dx=\frac{\Gamma(a)\Gamma(b)}{\Gamma(a+b)}

統計量は:

E[X]=aa+b,V[X]=ab(a+b)2(a+b+1)E[X]=\frac{a}{a+b},\qquad V[X]=\frac{ab}{(a+b)^2(a+b+1)}

(要するに)xx確率や割合そのもの(0〜1の値)を取るときに使う分布。a=b=1a=b=1 なら一様分布 U(0,1)U(0,1)a,ba,b を動かすと左寄り・右寄り・U字・山型と自在に形が変わります。

3.2 期待値の導出

ベータ関数とガンマ関数の関係 B(a,b)=Γ(a)Γ(b)Γ(a+b)B(a,b)=\dfrac{\Gamma(a)\Gamma(b)}{\Gamma(a+b)} を使います:

E[X]=01xxa1(1x)b1B(a,b)dx=1B(a,b)01xa(1x)b1dx=B(a+1,b)B(a,b)E[X]=\int_0^1 x\cdot\frac{x^{a-1}(1-x)^{b-1}}{B(a,b)}dx =\frac{1}{B(a,b)}\int_0^1 x^{a}(1-x)^{b-1}dx =\frac{B(a+1,b)}{B(a,b)}

B(a+1,b)=Γ(a+1)Γ(b)Γ(a+b+1)B(a+1,b)=\dfrac{\Gamma(a+1)\Gamma(b)}{\Gamma(a+b+1)}Γ(a+1)=aΓ(a)\Gamma(a+1)=a\Gamma(a) を代入すると:

E[X]=Γ(a+1)Γ(b)/Γ(a+b+1)Γ(a)Γ(b)/Γ(a+b)=aΓ(a)Γ(a+b)Γ(a)(a+b)Γ(a+b)=aa+bE[X]=\frac{\Gamma(a+1)\Gamma(b)/\Gamma(a+b+1)}{\Gamma(a)\Gamma(b)/\Gamma(a+b)} =\frac{a\,\Gamma(a)\,\Gamma(a+b)}{\Gamma(a)\,(a+b)\Gamma(a+b)}=\frac{a}{a+b}

(要するに)積分が「形状を1つずらしたベータ関数」になり、Γ\Gamma の漸化式で約分すると a/(a+b)a/(a+b)「成功 aa 回・失敗 bb 回」の割合の期待値が a/(a+b)a/(a+b) と読めて直観的です。

3.3 用途その1:二項分布の共役事前分布(ベイズ)

ベータ分布の最重要用途。二項分布(コイン投げ等)の成功確率 pp の事前分布をベータ分布にすると、事後分布もベータ分布になる(共役性)。

成功確率 pp に事前分布 pBeta(a,b)p\sim\mathrm{Beta}(a,b) を置き、nn 回中 kk 回成功(二項分布の尤度)を観測したとします。ベイズの定理(事後 \propto 尤度 ×\times 事前)より:

π(pk)  pk(1p)nk尤度pa1(1p)b1事前=p(a+k)1(1p)(b+nk)1\pi(p\mid k)\ \propto\ \underbrace{p^{k}(1-p)^{n-k}}_{\text{尤度}}\cdot\underbrace{p^{a-1}(1-p)^{b-1}}_{\text{事前}} = p^{(a+k)-1}(1-p)^{(b+n-k)-1}

右辺は Beta(a+k, b+nk)\mathrm{Beta}(a+k,\ b+n-k) の核(カーネル)。よって:

pdata  Beta(a+k, b+nk)p\mid \text{data}\ \sim\ \mathrm{Beta}(a+k,\ b+n-k)

(要するに)事前の a,ba,b に「成功数 kk」「失敗数 nkn-k」をそのまま足すだけで事後分布が得られる。a,ba,b は「観測前に仮想的に持っていた成功・失敗のカウント(擬似観測数)」と解釈できます。これがベータ=二項の共役のうれしさで、ベイズ計算が紙の上で完結します。

3.4 用途その2:順序統計量の分布

互いに独立で一様分布 U(0,1)U(0,1) に従う nn 個の標本を小さい順に並べたとき、kk 番目の順序統計量 X(k)X_{(k)} は次に従います:

X(k)Beta(k, nk+1)X_{(k)}\sim\mathrm{Beta}(k,\ n-k+1)

期待値は §3.2 より E[X(k)]=kn+1E[X_{(k)}]=\dfrac{k}{n+1}

(要するに)一様乱数を nn 個ばらまいて kk 番目に小さい値の位置は、平均すると区間を n+1n+1 等分した kk 番目(k/(n+1)k/(n+1))。ベータ分布が「順序・順位の理論」とつながる入口です。最小値は Beta(1,n)\mathrm{Beta}(1,n)、最大値は Beta(n,1)\mathrm{Beta}(n,1)


4. 試験での問われ方(準1級)

トピック典型的な問われ方
指数分布無記憶性の証明・適用、中央値 ln2/λ\ln 2/\lambda の計算、ポアソン過程の待ち時間としての対応
ガンマ分布指数の和であることの証明(MGF)、E=αβ, V=αβ2E=\alpha\beta,\ V=\alpha\beta^2χ2(n)=Ga(n/2,2)\chi^2(n)=\mathrm{Ga}(n/2,2) の対応
ベータ分布ベイズ事後分布の計算(共役)、E=a/(a+b)E=a/(a+b)、順序統計量との対応、形状の解釈

出題範囲・配点の細部は年度で変わるため要最新確認。ワークブックの章立て(連続型分布・ベイズ法の章)では3分布がまとめて扱われる傾向があります。


5. 数式の直観的意味(まとめ)


⚠️ 引っかけポイント・頻出論点


よくある疑問

Q1. 「無記憶性」って結局どういう状態を指すの?

A. **「これまでどれだけ待ったかが、これから先の待ち時間の分布に一切影響しない」**状態です。式で言えば P(X>s+tX>s)=P(X>t)P(X>s+t\mid X>s)=P(X>t)。バスがランダムに来る(時刻表なし)状況で「もう10分待った」という事実が「あと何分で来るか」の見込みを変えない、というイメージ。逆に時刻表どおりのバスは無記憶ではありません(待つほど到着が近づく)。連続分布でこの性質を持つのは指数分布だけです。

Q2. ガンマ分布の β\beta が、本によって「尺度」だったり「率」だったりするのはなぜ?

A. パラメータ化の流派が2つあるためで、数学的にはどちらも正しいです。scale型は β\beta=尺度(平均待ち時間の1個分、E=αβE=\alpha\beta)、rate型は β\beta(または λ\lambda)=率(単位時間あたり頻度、E=α/βE=\alpha/\beta)。両者は互いに逆数 βscale=1/λrate\beta_{\text{scale}}=1/\lambda_{\text{rate}}。Python の scipy.stats.gamma は scale 引数、R の dgamma は rate と scale の両方を受けるなど実装でも分かれます。試験では問題文の PDF の指数部(ex/βe^{-x/\beta} なら scale、eβxe^{-\beta x} なら rate)で判別してください。

Q3. ベータ分布は何を表す分布だと思えばいい?

A. 「割合・確率そのもの」の分布です。指数・ガンマが「時間(00 以上の実数)」を表すのに対し、ベータは必ず 0011 の値を取ります。だから「コインの表が出る確率 pp がどれくらいか」「不良率がどの辺か」といった確率の確率を表現するのにぴったりで、ベイズ統計で二項分布の事前分布として多用されます。形状も a,ba,b 次第で一様・山型・U字・偏りと自在です。

Q4. なぜベータ分布が二項分布の「共役」事前分布になるの?

A. 尤度と事前が同じ関数形 p(1p)p^{\bullet}(1-p)^{\bullet} をしているからです。二項分布の尤度は pk(1p)nkp^k(1-p)^{n-k}、ベータ事前は pa1(1p)b1p^{a-1}(1-p)^{b-1}。掛け合わせると指数部が足し算されて p(a+k)1(1p)(b+nk)1p^{(a+k)-1}(1-p)^{(b+n-k)-1} となり、これは再びベータ分布の形。「事前と事後が同じ分布族に留まる」これが共役の定義で、計算が紙の上で閉じるのが利点です(数値積分が要らない)。

Q5. 指数・ガンマ・カイ二乗・ベータ、頭の中でどう整理すればいい?

A. **「ガンマ分布を親に置く」と整理できます。指数分布は α=1\alpha=1 のガンマ、カイ二乗は α=n/2,β=2\alpha=n/2,\beta=2 のガンマ。つまり指数とカイ二乗は同じ親(ガンマ)の兄弟です。さらに独立な2つのガンマ X,YX,Y から比 X/(X+Y)X/(X+Y) を作るとベータ分布が現れる(→ F分布や順序統計量にもつながる)。だから「ガンマ関数を骨格に持つ一族」**として束ねるのが、暗記でなく理解で覚えるコツです。


まとめ


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