🎓 第7章:エージェントベースモデル
第7章 エージェントベースモデル
ここまでは「分布や系の平均的な振る舞い」を扱ってきました。本章は視点を変え、多数の自律エージェント(個体)が、それぞれ単純な局所ルールに従って相互作用する系を扱います。驚くべきは、ミクロな単純ルールから、誰も設計していない**マクロな秩序やパターン(創発, emergence)**が立ち上がること。セルオートマトンのパターン、Schelling の分居(緩い好みが強い分居を生む)、感染症の伝播(局所接触から閾値的な流行)——いずれも、平均化された方程式では捉えにくい「個の相互作用から生まれる全体」を、シミュレーションでしか見えない形で示します。
トピック一覧
- セルオートマトン — 基礎
- Schellingの分居モデル — 標準
- 群集・流行のエージェントモデル — 標準
この章の要点
- セルオートマトン:格子上のセルが近傍の状態だけで次状態を決める。ライフゲームのブリンカー(周期2)・グライダー(移動)など豊かなパターンが局所規則から生まれる。
- Schelling 分居:「近所の3〜4割が同類でないと引っ越す」という緩い好みでも、全体は強く分居する(個人の意図とマクロ結果のギャップ)。
- 流行モデル:局所接触の感染確率 がある閾値を超えると、小さなくすぶりから全体流行へ相転移する(創発する閾値現象)。
関連章
- 第6章 マルコフ連鎖と定常分布 — 確率的な状態遷移という共通土台
- 第1章 モデル化の流れ(系・状態・入力・出力) — 状態と局所ルールの設計
- ネットワーク科学:接触ネットワーク上の伝播(相互リンク先)