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📊 対象級:1級 | 重要度:B(標準)

要点(BLUF)

経済指数は「多数の財の価格や数量を1つの数字に束ねる」道具です。社会科学分野では物価指数(ラスパイレス/パーシェ/フィッシャー)と格差指標(ローレンツ曲線・ジニ係数)が定番で、定義式を覚えていれば計算問題で点を稼げます(ローレンツ・ジニは2019年問2で出題)。出題範囲・配点は改訂されうるため要最新確認

flowchart TD
  ROOT["経済指数<br/>多数の価格・数量を1つの数字に集約"] --> PRICE["物価指数<br/>価格の変化を測る"]
  ROOT --> INEQ["格差・不平等の指標<br/>分布の偏りを測る"]
  PRICE --> L["ラスパイレス指数 P_L<br/>基準時 q0 で加重"]
  PRICE --> P["パーシェ指数 P_P<br/>比較時 qt で加重"]
  PRICE --> F["フィッシャー指数 P_F<br/>√(P_L·P_P) 幾何平均<br/>時間反転・要素反転を満たす"]
  L -.一般に P_L ≥ P_P.-> P
  PRICE --> DEF["デフレーター<br/>実質値 = 名目値 ÷ 物価指数"]
  INEQ --> LOR["ローレンツ曲線 L(p)<br/>累積人口比 → 累積所得比"]
  LOR --> GINI["ジニ係数 G<br/>= 2×(均等線とL(p)の間の面積)<br/>= 2∫(p−L(p))dp ∈ [0,1]"]

1. 物価指数 — 多数の価格を1つに束ねる

1.1 なぜ加重が要るのか

物価が「全体として」どれだけ上がったかを1つの数字にしたい。けれど財は無数にあり、しかも家計支出に占める比重が違います(米とマッチ箱を同じ重みで平均してはいけない)。そこで各財の数量で加重した価格の比を作ります。財 ii の価格を基準時 p0ip_{0i}・比較時 ptip_{ti}、数量を q0iq_{0i}qtiq_{ti} と書きます。

肝は「加重に使う数量を、基準時のものにするか比較時のものにするか」という一点です。ここで方式が分かれます。

1.2 ラスパイレス指数(基準時加重)

ラスパイレス指数は、加重を基準時の数量 q0q_0 に固定します。

PL=iptiq0iip0iq0i(×100 で指数化)P_L=\frac{\sum_i p_{ti}\,q_{0i}}{\sum_i p_{0i}\,q_{0i}}\qquad(\times 100\ \text{で指数化})

要するに「基準時に買っていた買い物カゴ(固定)を、いまの値段で買い直すといくら高くつくか」。分母は基準時の買い物カゴの基準時価格での総額、分子は同じカゴを比較時価格で評価した総額です。買い物カゴ(数量構成)を動かさないので計算が軽い——比較時の数量 qtq_t を毎期調べなくてよい。日本のCPI(消費者物価指数)はこのラスパイレス型が基本です。

1.3 パーシェ指数(比較時加重)

パーシェ指数は、加重を比較時の数量 qtq_t に固定します。

PP=iptiqtiip0iqtiP_P=\frac{\sum_i p_{ti}\,q_{ti}}{\sum_i p_{0i}\,q_{ti}}

要するに「いま買っている買い物カゴ(現在の構成)を、もし基準時の値段で買えたらどれだけ安く済んだか、の逆数的な比」。分子は現在の買い物カゴの現在価格での総額(=現在の名目支出)、分母は同じ現在のカゴを基準時価格で評価した総額です。比較時の数量を毎期調べる必要があるので計算が重い

⚠️ 取り違えに注意。ラスパイレス=分母分子とも q0q_0(基準時数量)で固定、パーシェ=分母分子とも qtq_t(比較時数量)で固定。「分子は両方とも ptqp_t q、違うのは加重数量だけ」と覚えると整理できます。PLP_L の分子は ptq0\sum p_t q_0PPP_P の分子は ptqt\sum p_t q_t

1.4 一般に PLPPP_L\ge P_P となる理由(代替効果と共分散による証明)

結論:価格と数量が「高くなった財ほど買い控える」という負の関係(代替効果)にあるとき、一般に

  PLPP  \boxed{\;P_L\ge P_P\;}

が成り立ちます。直観は「ラスパイレスは高くなる前の多めの数量で価格上昇を測るから過大評価、パーシェは高くなった後の少なめの数量で測るから過小評価」。これを共分散で厳密に示します。

各財の価格上昇率ri=pti/p0ir_i=p_{ti}/p_{0i}、基準時の支出シェアwi=p0iq0ijp0jq0jw_i=\dfrac{p_{0i}q_{0i}}{\sum_j p_{0j}q_{0j}}、比較時数量の基準時価格評価でのシェアを si=p0iqtijp0jqtjs_i=\dfrac{p_{0i}q_{ti}}{\sum_j p_{0j}q_{tj}} とおきます。すると2つの指数は価格上昇率 rir_i加重平均として書けます。

PL=iwiri,PP=(isiri1)1P_L=\sum_i w_i\,r_i, \qquad P_P=\Bigl(\sum_i s_i\,r_i^{-1}\Bigr)^{-1}

PLP_Lptq0/p0q0=(p0iq0i)(pti/p0i)/p0q0=wiri\sum p_t q_0/\sum p_0 q_0=\sum (p_{0i}q_{0i})(p_{ti}/p_{0i})/\sum p_0 q_0=\sum w_i r_iPPP_P は分母分子を比較時の基準価格評価額で割ると、ri1=p0i/ptir_i^{-1}=p_{0i}/p_{ti} の加重調和平均の形になる。要するに「ラスパイレスは価格比の加重算術平均、パーシェは価格比の加重調和平均」。)

ここで決め手はチェビシェフの和の不等式(共分散の符号で2系列の積和の大小が決まる、という古典)です。代替効果のもとでは「価格上昇率 rir_i が大きい財ほど、比較時には数量を減らす」ので、rir_i と「比較時シェア sis_i(≒比較時数量に比例)」は負の相関を持ちます。負の相関のとき、加重算術平均(ラスパイレス側の重み付け)は加重調和平均(パーシェ側)を上回り、結果として

PL=ptq0p0q0  ptqtp0qt=PPP_L=\frac{\sum p_t q_0}{\sum p_0 q_0}\ \ge\ \frac{\sum p_t q_t}{\sum p_0 q_t}=P_P

が従います。要するに「価格と数量変化に負の共分散があると、基準時の重み付け(ラスパイレス)の方が大きく出る」。これがラスパイレスの上方バイアス、パーシェの下方バイアスの数学的正体です。

⚠️ これは恒等式ではなく傾向です。代替効果が普通に効く現実のデータでは PLPPP_L\ge P_P が成り立ちますが、価格と数量が正の相関を持つ(高くなった財をかえって多く買う=ギッフェン財的な逆転)特殊ケースでは不等号が逆転しえます。試験では「一般にラスパイレス≧パーシェ、理由は代替効果」と答えるのが定石ですが、「常に成立」と書くと引っかけに落ちます。

1.5 フィッシャー指数(幾何平均・理想指数)

ラスパイレスは上に、パーシェは下に偏る。なら両者の幾何平均を取って真ん中を狙おう、というのがフィッシャー指数です。

  PF=PLPP  \boxed{\;P_F=\sqrt{P_L\cdot P_P}\;}

要するに「上方バイアスと下方バイアスを相殺した、バランスの取れた指数」。幾何平均なので一般に PLPFPPP_L\ge P_F\ge P_PPLPPP_L\ge P_P のとき)と中間に位置します。フィッシャー指数が「理想指数(ideal index)」と呼ばれるのは、次の2つの望ましいテストを満たすからです。

時間反転テスト(time reversal test). 基準時と比較時を入れ替えた指数は、元の指数の逆数であるべき、という要請です。記号で、時点 00 から tt への価格指数を P0tP_{0t} と書くと

P0tPt0=1P_{0t}\cdot P_{t0}=1

を満たすこと。「行って帰れば元に戻る」という整合性です。ラスパイレス単独・パーシェ単独はこれを満たしません(PL0tPLt01P_L^{0t}\cdot P_L^{t0}\ne1 が一般)。一方フィッシャーは、PFt0=PLt0PPt0P_F^{t0}=\sqrt{P_L^{t0}P_P^{t0}} を計算すると、時点反転でラスパイレスとパーシェの役割がちょうど入れ替わるため、積が1になりテストを満たします

要素反転テスト(factor reversal test). 価格指数と数量指数を「価格と数量を入れ替えて」同じ式で作ったとき、その積が支出比(名目総額の比)に一致するべき、という要請です。価格指数を PP、同じ方式で作った数量指数を QQ とすると

PQ=ptqtp0q0(=名目支出の比)P\cdot Q=\frac{\sum p_t q_t}{\sum p_0 q_0}\quad(\text{=名目支出の比})

を満たすこと。フィッシャー指数は価格・数量とも幾何平均で作るとこの等式を満たす唯一級の指数で、これも「理想」と呼ばれるゆえんです。ラスパイレス価格指数×ラスパイレス数量指数は支出比に一致しません(後述の交差で説明)。

試験での扱い:「フィッシャー指数が時間反転テストと要素反転テストを満たす(だから理想指数と呼ばれる)」は知識問題として頻出。ラスパイレス・パーシェ単独はどちらのテストも満たさないことも対で覚えます。


2. 数量指数と価格×数量の分解

2.1 数量指数は「価格を固定して数量を測る」

価格指数の双対が数量指数です。加重に価格を使い、数量の変化を測ります。価格を固定するので、ラスパイレス型・パーシェ型がそのまま定義できます。

QL=ip0iqtiip0iq0i(基準時価格で加重),QP=iptiqtiiptiq0i(比較時価格で加重)Q_L=\frac{\sum_i p_{0i}\,q_{ti}}{\sum_i p_{0i}\,q_{0i}}\quad(\text{基準時価格で加重}), \qquad Q_P=\frac{\sum_i p_{ti}\,q_{ti}}{\sum_i p_{ti}\,q_{0i}}\quad(\text{比較時価格で加重})

要するに「価格を止めて、買い物カゴの『量』だけがどれだけ増えたか」。QLQ_L は基準時価格という共通のものさしで、数量が基準時から比較時へどれだけ増えたかを測ります(=実質GDP的な発想)。

2.2 名目・実質とデフレーター

家計や経済全体の名目支出(名目値)ptqt\sum p_t q_t で、価格上昇と数量増加の両方を含みます。ここから価格の影響を除いて「量だけの変化」を取り出したものが実質値です。両者をつなぐのが**物価指数(デフレーター)**で、関係は

  実質値=名目値物価指数(デフレーター)  \boxed{\;\text{実質値}=\frac{\text{名目値}}{\text{物価指数(デフレーター)}}\;}

要するに「名目の金額を物価指数で割って『水増し(インフレ)ぶん』を抜けば、本当の量の動きが見える」。たとえば名目GDPが前年比+5%でも、物価(GDPデフレーター)が+3%なら、実質GDP成長は約 1.05/1.031+1.9%1.05/1.03-1\approx+1.9\%。価格が上がっただけの分を差し引くわけです。

2.3 価格指数×数量指数=支出比

価格と数量の分解の核心は、価格指数と数量指数を適切に組めば名目支出比になることです。ラスパイレス価格指数とパーシェ数量指数を掛けると、

PLQP=ptq0p0q0ptqtptq0=ptqtp0q0P_L\cdot Q_P=\frac{\sum p_t q_0}{\sum p_0 q_0}\cdot\frac{\sum p_t q_t}{\sum p_t q_0}=\frac{\sum p_t q_t}{\sum p_0 q_0}

要するに「ptq0\sum p_t q_0 が約分で消えて、名目支出比だけが残る」。同様にパーシェ価格指数×ラスパイレス数量指数も支出比になります(PPQL=ptqt/p0q0P_P\cdot Q_L=\sum p_t q_t/\sum p_0 q_0)。

組み合わせ支出比に一致するか
ラスパイレス価格 PLP_L × パーシェ数量 QPQ_Pptqtp0q0\dfrac{\sum p_t q_t}{\sum p_0 q_0}する(ptq0\sum p_t q_0 が約分)
パーシェ価格 PPP_P × ラスパイレス数量 QLQ_Lptqtp0q0\dfrac{\sum p_t q_t}{\sum p_0 q_0}する(p0qt\sum p_0 q_t が約分)
ラスパイレス価格 PLP_L × ラスパイレス数量 QLQ_Lしない(要素反転テスト不成立)
フィッシャー価格 PFP_F × フィッシャー数量 QFQ_Fptqtp0q0\dfrac{\sum p_t q_t}{\sum p_0 q_0}する(要素反転テストを満たす)

⚠️ 同じ方式どうし(ラスパイレス価格×ラスパイレス数量)は支出比にならない点が引っかけ。約分が効くのは「価格は基準時加重・数量は比較時加重」のように交差させた組み合わせ、またはフィッシャーどうしです。要素反転テストの話と同じことを言っています。


3. 格差・不平等の指標 — ローレンツ曲線とジニ係数

3.1 ローレンツ曲線

所得や資産の分布の偏りを可視化するのがローレンツ曲線です。作り方は次の通り。

  1. 全員(全世帯)を所得の低い順に並べる。
  2. 横軸に「下位から数えた累積人口比 pp」(0〜1)、縦軸に「その人々が占める累積所得比 L(p)L(p)」(0〜1)をとる。
  3. 点を結んだ曲線がローレンツ曲線 L(p)L(p)

要するに「下位 pp 割の人たちが、全所得の何割を持っているか」を pp ごとにプロットした曲線です。性質を押さえます。

xychart-beta
  title "ローレンツ曲線(均等線 p との乖離が不平等を表す)"
  x-axis "累積人口比 p(低所得から)" 0 --> 1
  y-axis "累積所得比 L(p)" 0 --> 1
  line [0, 0.25, 0.5, 0.75, 1.0]
  line [0, 0.08, 0.22, 0.45, 1.0]

上の図で、まっすぐな線が均等配分線 L(p)=pL(p)=p(完全平等)、下に膨らんだ線が不平等なローレンツ曲線です。2本の線で挟まれた面積が大きいほど格差が大きい——その面積を数値化したのが次のジニ係数です。

3.2 ジニ係数の定義と「面積の2倍」の導出

ジニ係数 GG は、均等配分線とローレンツ曲線で挟まれた面積を2倍したものとして定義されます。挟まれた面積を AA、ローレンツ曲線の下側の面積を BB とすると、定義より

  G=2A=201(pL(p))dp  \boxed{\;G=2A=2\int_0^1\bigl(p-L(p)\bigr)\,dp\;}

要するに「完全平等の線から曲線がどれだけ離れているか(面積 AA)を、値域が [0,1][0,1] に収まるように2倍した指標」。なぜ2倍なのかと、なぜ値域が [0,1][0,1] になるのかを順に出します。

ステップ1:三角形の面積は 1/21/2. 横軸 p[0,1]p\in[0,1]、縦軸 L[0,1]L\in[0,1] の単位正方形を考えます。均等配分線 L=pL=p は正方形を対角線で二分するので、その下側の三角形の面積は

01pdp=[12p2]01=12\int_0^1 p\,dp=\Bigl[\tfrac{1}{2}p^2\Bigr]_0^1=\frac12

要するに「正方形(面積1)を対角線で割った下半分は面積 1/21/2」。

ステップ2:AABB の関係. 均等線の下の三角形(面積 1/21/2)は、「均等線とローレンツ曲線で挟まれた部分 AA」と「ローレンツ曲線の下側 BB」に分かれます(ローレンツ曲線は均等線の下にあるので)。よって

A+B=12,A=12B,B=01L(p)dpA+B=\frac12,\qquad A=\frac12-B,\qquad B=\int_0^1 L(p)\,dp

ステップ3:2倍してジニ係数. ジニ係数は AA を、全体の三角形 1/21/2 で割って正規化した「乖離面積が三角形に占める割合」とも読めます。

G=A1/2=2A=2(12B)=12B=1201L(p)dpG=\frac{A}{1/2}=2A=2\Bigl(\frac12-B\Bigr)=1-2B=1-2\int_0^1 L(p)\,dp

要するに「AA をそのまま使うと最大 1/21/2 にしかならない。三角形の面積 1/21/2 で割る(=2倍する)ことで、最大値が1になるよう目盛りを合わせている」。これが「面積の2倍」の正体です。最終形は次の3つが全部同じものです。

G=2A=201(pL(p))dp=1201L(p)dpG=2A=2\int_0^1\bigl(p-L(p)\bigr)\,dp=1-2\int_0^1 L(p)\,dp

ステップ4:値域 [0,1][0,1] の導出.

0G10\le G\le 1

要するに「BB(曲線の下の面積)が三角形 1/21/2 をめいっぱい埋めれば平等で G=0G=0BB がゼロまで痩せれば独占で G=1G=1」。これでジニ係数が必ず [0,1][0,1] に収まることが示せました(厳密には有限人数だと最大値は 11/N1-1/N で、NN\to\infty で1に漸近)。

3.3 離散データでの計算(台形公式)

実データは連続関数ではなく NN 個の点なので、面積 B=01L(p)dpB=\int_0^1 L(p)\,dp台形の和で近似します。累積人口比の刻みを p0=0,p1,,pN=1p_0=0,p_1,\dots,p_N=1、対応する累積所得比を L0=0,L1,,LN=1L_0=0,L_1,\dots,L_N=1 とすると、台形公式で

Bk=1N(Lk1+Lk)2(pkpk1),G=12BB\approx\sum_{k=1}^{N}\frac{(L_{k-1}+L_k)}{2}\,(p_k-p_{k-1}), \qquad G=1-2B

要するに「隣り合う2点を直線で結んだ台形の面積を足し上げ、それを BB とみなして G=12BG=1-2B に入れる」。NN 等分(各階級が人口を等しく分ける)なら pkpk1=1/Np_k-p_{k-1}=1/N で簡単になります。試験ではこの台形近似での手計算がよく出ます。


4. 具体例

4.1 2財でのラスパイレス/パーシェ計算

財を「米」と「パン」の2つとします。基準時(年0)と比較時(年t)の価格・数量が次のとおりとします(数値は計算練習用の作り値)。

基準時価格 p0p_0基準時数量 q0q_0比較時価格 ptp_t比較時数量 qtq_t
100101208
パン50206024

価格はどちらも上がっています(米 100120100\to120、パン 506050\to60)。代替効果で、相対的に上がり方の構図に応じて数量も動いています。各和を計算します。

これを定義式に入れます。

PL=ptq0p0q0=24002000=1.20(120)P_L=\frac{\sum p_t q_0}{\sum p_0 q_0}=\frac{2400}{2000}=1.20\quad(120) PP=ptqtp0qt=24002000=1.20(120)P_P=\frac{\sum p_t q_t}{\sum p_0 q_t}=\frac{2400}{2000}=1.20\quad(120)

この作り値だと偶然 PL=PP=1.20P_L=P_P=1.20 になりました(米とパンの価格上昇率がともに+20%で揃っているため。価格上昇率が全財一律だと加重に関わらず指数が一致する、という性質の確認にもなります)。フィッシャー指数は

PF=1.20×1.20=1.20(120)P_F=\sqrt{1.20\times1.20}=1.20\quad(120)

価格上昇率に差をつけた例で大小関係を見ます。比較時価格を「米 150150(+50%)、パン 5555(+10%)」に変え、数量は上と同じ(米 qt=8q_t=8、パン qt=24q_t=24、つまり高くなった米を減らしている)とすると、

PL=1.30>PP=1.26P_L=1.30 > P_P=1.26 となり、ラスパイレス≧パーシェが確認できます。価格上昇の大きい米を比較時に減らしている(価格と数量変化が負相関)からこそ、基準時数量で測るラスパイレスが大きく出るわけです。フィッシャーは PF=1.30×1.261.28P_F=\sqrt{1.30\times1.26}\approx1.28 で中間に入ります。

4.2 ジニ係数の手計算

5人を所得の低い順に並べ、所得が {1,2,3,4,10}\{1,2,3,4,10\}(合計20)だったとします。累積を作ります。

順位人口比の累積 pkp_k所得所得の累積累積所得比 LkL_k
0(原点)0.000.00
10.2110.05
20.4230.15
30.6360.30
40.84100.50
51.010201.00

各区間幅は pkpk1=0.2p_k-p_{k-1}=0.2。台形の和で BB を求めます。

B=0.2×(0.00+0.05)+(0.05+0.15)+(0.15+0.30)+(0.30+0.50)+(0.50+1.00)2B=0.2\times\frac{(0.00+0.05)+(0.05+0.15)+(0.15+0.30)+(0.30+0.50)+(0.50+1.00)}{2}

中身を足すと 0.05+0.20+0.45+0.80+1.50=3.000.05+0.20+0.45+0.80+1.50=3.00 なので B=0.2×3.00/2=0.30B=0.2\times3.00/2=0.30。よって

G=12B=12(0.30)=0.40G=1-2B=1-2(0.30)=0.40

要するに「この5人社会のジニ係数は0.40」。最上位の1人が全体の半分(10/20)を持っているので、それなりに不平等、という数字感です。


5. 試験での問われ方(1級)

社会科学分野での1級の典型的な問われ方を、論点ごとに整理します(出題範囲・配点は要最新確認)。


6. 引っかけ・頻出論点


よくある疑問(Q&A)

Q1. ラスパイレスとパーシェ、どちらが「正しい」物価指数なのですか?

どちらか一方が絶対的に正しいわけではなく、測り方の哲学が違うだけです。ラスパイレスは「基準時の生活水準(買い物カゴ)を維持する費用」を測り、パーシェは「現在の生活水準を基準時価格で買えたか」を測ります。実務ではラスパイレスが主流——比較時数量 qtq_t を毎期調べなくてよく計算が軽いからです(日本のCPIもラスパイレス型)。理論的にバイアスを相殺したいならフィッシャーですが、フィッシャーは両方の数量データが要るので重い。要するに「理論的理想はフィッシャー、実務の現実解はラスパイレス」という棲み分けです。

Q2. なぜラスパイレスが「上方」でパーシェが「下方」のバイアスなのですか? 符号を毎回間違えます。

代替効果で覚えると符号が固定できます。価格が上がると人はその財を買い控える(数量を減らす)。ラスパイレスは買い控える前多めの基準時数量 q0q_0 でその財の値上がりを評価するので、値上がりの影響を重くカウント=過大評価(上方バイアス)。パーシェは買い控えた後少なめの比較時数量 qtq_t で評価するので軽くカウント=過小評価(下方バイアス)。「高くなった財の重みを、減らす前で測るか減らした後で測るか」の違いです。PLPFPPP_L\ge P_F\ge P_P の並びをこの理屈とセットで覚えてください。

Q3. フィッシャー指数が「理想指数」と呼ばれるのは、ただ中間を取るからですか?

中間を取るだけでなく、指数に望ましい2つの整合性テストを満たすからです。① 時間反転テスト:基準時と比較時を入れ替えると指数が逆数になる(P0tPt0=1P_{0t}P_{t0}=1、「行って帰れば元通り」)。② 要素反転テスト:価格指数×数量指数が名目支出比に一致する。ラスパイレス・パーシェ単独はどちらも満たしませんが、フィッシャー(幾何平均)はちょうど両方を満たします。「中間だから良い」のではなく「整合性テストに合格するから良い」が正確な理由です。

Q4. ジニ係数が「面積の2倍」なのはなぜですか? そのまま面積じゃダメなのですか?

そのままだと値域が [0,1/2][0,\,1/2] にしかならず、指標として使いにくいからです。均等線とローレンツ曲線で挟まれる面積 AA は、均等線の下の三角形(面積 1/21/2)の内側にあるので、どんなに不平等でも A1/2A\le1/2。これを「三角形 1/21/2 に占める割合」に直す(=1/21/2 で割る=2倍する)と、完全平等で0、完全不平等で1のきれいな [0,1][0,1] スケールになります。式で言えば G=A/(1/2)=2AG=A/(1/2)=2A。要するに「目盛りを [0,1][0,1] に合わせるための正規化が『2倍』」です。

Q5. ジニ係数が同じでも、格差の中身が違うことはありますか?

あります。ジニ係数はローレンツ曲線を1つの数字に潰した要約なので、形の違う2本のローレンツ曲線が同じ面積(同じジニ係数)を持つことがありえます。たとえば「下位に薄く広く貧困が広がる社会」と「中間層は厚いが最上位が突出する社会」が同じジニ係数になる、ということが起こります。だから格差の中身を見るにはローレンツ曲線そのものの形(どこで均等線から離れるか)を見る必要があり、ジニ係数だけでは分布の局所的な偏りまでは分かりません。要約統計量である以上、情報の落ちる部分がある、ということです。

Q6. 名目GDPと実質GDP、どちらを見ればいいのですか?

「経済の実体的な成長」を見たいなら実質GDPです。名目GDPは価格上昇(インフレ)と生産量増加の両方を含むので、物価が上がっただけでも名目は増えてしまい、「本当に豊かになったか」が分かりません。実質GDP=名目GDP÷GDPデフレーターで物価の影響を抜けば、生産「量」の動きが見えます。要するに「名目は金額の動き、実質は量の動き。成長率の議論は実質で行う」のが定石です。逆に、その時点での経済の規模を金額で見たいときは名目が使われます。


まとめ


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