🎓 レベル:標準 | 重要度:A(必須) 📎 土台:重回帰分析(統計・OLS仮定)・バックドア基準と識別(因果推論・交絡)
要点(BLUF)
- 内生性 = 説明変数と誤差項が相関する()。これがあると OLS は不偏でも一致でもなくなり、大標本でも間違った値に収束します。
- 源は大きく3つ:欠落変数バイアス・同時性バイアス・測定誤差。経済データではこのどれかがほぼ必ず潜みます。
- どの源かで処方箋が変わる:欠落変数→操作変数/固定効果、同時性→操作変数/同時方程式、測定誤差→操作変数。操作変数(第3章)が共通の万能薬ですが、源を見極めるのが先です。
1. 内生性の定義と害
重回帰 で、ある説明変数 が誤差 と相関するとき、 は内生だといいます。このとき外生性 (回帰のおさらいと識別の考え方)が壊れ、OLS は
のように真の値からズレた先に収束します。第2項がバイアスで、サンプルを増やしても消えません(不均一分散のように標準誤差だけの問題ではない、もっと深刻な問題)。
2. バイアスの源の地図
flowchart TB
E["内生性 Cov(x,u)≠0(OLSが偏る)"]
E --> O["欠落変数バイアス(交絡が誤差に残る)"]
E --> S["同時性バイアス(x と y が互いに決め合う)"]
E --> M["測定誤差(x を誤差込みで観測)"]
O --> O2["対処: 固定効果(第4章)・操作変数(第3章)"]
S --> S2["対処: 操作変数・同時方程式(第3章)"]
M --> M2["対処: 操作変数(第3章)"]
- 欠落変数バイアス:能力・経営の質・期待のような観測できない交絡が誤差に残り、説明変数と相関する。教育→賃金で「能力」が抜けると教育の係数が上振れする、が典型(操作変数法と2SLSで実証)。これは因果の交絡(バックドア基準と識別)の計量版です。
- 同時性バイアス: が を、 が を同時に決める。価格と需要、警官の数と犯罪率など。回帰の向きが一意でなくなる(同時方程式モデル)。
- 測定誤差:真の ではなく誤差込みの を観測すると、係数がゼロ方向に縮む(希薄化バイアス)。所得・資本ストックなど計測が難しい変数で頻発。
3. 処方箋への入り口
3つの源はいずれも「外生的な変動を借りてくる」操作変数法(操作変数の考え方・操作変数法と2SLS)で一括対処できます。加えて、欠落変数が個体に固定ならパネルの固定効果(固定効果と変量効果)で差をとって消せます。まず源を診断し、使える変動を探す——これが計量経済学の作法です。
⚠️ よくある誤解・落とし穴
- 「内生性は標準誤差の問題」ではない:不均一分散や系列相関(第2章)は標準誤差が狂うだけで係数は一致します。内生性は係数そのものが偏る、より深刻な病です。
- 「符号の向きは常に上振れ」ではない:欠落変数バイアスの符号は「欠落変数が に効く向き × と相関する向き」の積で決まり、下振れもあります。測定誤差は基本ゼロ方向。
- 「コントロール変数を足せば必ず減る」ではない:観測できない交絡には無力。むしろ媒介変数や衝突点(衝突点バイアスと選択バイアス)を入れると悪化します。
関連ノート
- 操作変数の考え方・操作変数法と2SLS(内生性を外す主役)
- 同時方程式モデル(同時性バイアスの対処)
- 固定効果と変量効果(個体固定の欠落変数を差で消す)
- バックドア基準と識別・衝突点バイアスと選択バイアス(因果推論・交絡と選択)
- 計量経済学とは 目次
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